戦国

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ここは、見知らぬ場所だ。

それでも、この体に流れているのはこの世界の血で、この世界は自分にとって故郷なのだ。
生まれて初めて自分の祖先が生きた場所に来たからといって、別段感動もしない。

話に聞いていたわけでもないからだ。


やはり、生まれ育った場所が一番いいのだろう。

見知らぬ土地に不安を感じることはないが、なじんだ場所がないことはさびしい。



「では、お願いします。」
「うむ。」

木刀を手に幸村を見る。

(槍二本て何!?)

一本でも相当の重量であるはずなのに、それを二つももっているのである。


「はっ!」
「なんのっ!」

しかも、重さを感じられないその素早い動き。

(……苦手なタイプだ)

自分は女で力がないからと素早い攻撃を得意としてきた。
だが、彼もそれが得意だときた。
その上、男であるから一撃一撃が重い。


「くっ!」
「まだまだぁっ!!」

休む間もなく攻撃が襲ってくる。

「烈火ぁあっ!!」
「!?」

とっさに横に跳ぶ。
高速で繰り出される突きをくらったら、一たまりもない。

だが、

「隙ありっ!」
「ぐっ!」

あれほどの高速で突き出しているのだ。
急にやめることはできないし、正面以外からの攻撃には対処しづらいはずだ。

足払いをかけて、相手が体勢を崩したところで切っ先を喉元につきつける。


勝負あり、だ。


一瞬の間、お互いがお互いの目をじっと見る。

あごから汗がしたたり落ちて地面に染みをつくった。

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