戦国
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先ほどから部屋の前で誰かが行ったり来たりしている。
気になるのだが、あえて襖を開けようとは思わなかった。
日本家屋というものは、あけっぴろげになるようにできていて、さえぎるものといえば襖と屏風しかない。
今は人にあまり会いたい気分ではない。
「##NAME3##、朔殿っ!」
上ずった声が部屋の外から聞こえてくる。
それに答えることなくそのままいたら、外にいる主が続けた。
「朔殿?おられぬのか・・・?それとも具合が・・・・?」
黙っていたらそのままいなくなるのかな、と思ったのだが、いっこうに去る気配がなく、重い腰を上げてそろりと襖を開けた。
「よかった、おられた。」
ほっとして言う幸村に、朔は視線を下げた。
部屋に招き、座る。
「・・・・・・今朝はごめんなさい。」
小さな声で言う。
「何か気に病むような事でもござるのか?」
先ほどまでの落ち着きのない雰囲気とは一変して、穏やかな声に朔は下げていた視線を上げた。
視線が合った幸村が促すように、うなずいた。
「・・・・・・今は、まだ・・・・・・。」
それでもいえなかった。
確証がもてるまでは、余計なことはいえない。
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