戦国うたたね
□ほよのき sideB
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ふとした瞬間に茜は思った、
そういえば、水面に異世界が見えるというのはファンタジーのセオリーではないのか、と。
セオリーでもなんでもないのだが、でもどこかで水面に建物が映っているような話を読んだことがある。
いや、水底に町が沈んでいたんだっけ?
まあどちらでもいい。とりあえずこの世界は炎属性だの闇属性だの、RPGみたいな設定の世界なんだから水面になにかしらの反応があってもおかしくはない。
そう決めつけた茜は部屋から出て行った。
この世界に来たのは三月ほど前になる。
いきなり戦場に出たり、巫女さんとしてあがめられたりと頭のついていけないような状況になったりしたが、今は真田幸村の妻という立場で落ち着いている。
勘違いされることが多いこのごろだが、今の生活は気に入っているし、幸村のことも好きだ。
恋みたいに激しい気持ちじゃないけれども、幸村のことは愛してる…とは思う。
……この話はまたの機会に考えよう。
城の中庭みたいなとこにある池の側に立った楓は水面をじっと見た。
だがそこに映っているのは青い空。
じっと見ていれば何かでてくるだろうか、とおもって辛抱強く待っていても一向に雲一つ無い空しか映されない。
なんだ、つまんないの。
もっと町だの異世界だのがみえたらおもしろいだろうに。
そもそも、この世界は過去の日本なんだろうか…?いや、そんなわけない。
そう何度も繰り返した問いを自分の中で再び問いかける。
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