戦国
□番外編
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初めて出会ったのは、血の臭いのする戦場だ。
真っすぐな目をもち、熱苦しい真田の左側にいる人物。
それが神谷朔だった。
けれども、俺にとってはそんなことはどうでもよかった。
眼中にない、といったほうが正しいだろう。
真田幸村の相手をすることしか俺は興味がなかった。
手合わせをするときは、たいてい猿が小十郎の、朔が他の武将の相手をしていた。
猿がいないときだけ、朔が小十郎の相手をした。
いつかのときだったか、小十郎が「あいつはおもしろいな」と言った。
なんでも、男の小十郎相手に純粋な力勝負できたのだとか。
愚かとしか言いようがない戦術だ。
純粋な力勝負では、男相手にどんなに強かろうとも女は勝てない。
俺の中での神谷朔という人間の印象はあまり強いものじゃなかった。
だから、こんなに深く関わるようになるなんて自分でも思ってもなかった。
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