海賊
□幼馴染の
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最近エースの様子がおかしい。
なにかとイライラとして物を燃やしているし、本人自身がくすぶっている。
船の修理代が増えるからなんとかしてくれ、と抗議を受けたマルコはその原因であるだろうアスナにエースのところにいってこいという指令をくだした。
「でもさ!私のせいなわけ?何もしてないのに!!」
指令を受けたはずのアスナは食堂でサッチに抗議をしているのだ。
そんなアスナに紅茶を入れてあげると隣に座るサッチ。
「まぁ、エースにはなにもしてないっちゃしてないがな」
「でしょ!まったく、なんで私が」
とかぶつぶつといいながらも結局はマルコに逆らうことなどせずに、エースのところに行くアスナ。
「(いや、まぁアスナとマルコのいちゃこらぶりはエースじゃなくてもいらっとくるからな…)」
口には出さないにしても、そう思っているクルーは結構いる。
二人とも悪気があるわけでもない。
サッチが来る前からの知り合いだったマルコとアスナ。
頻繁に白ひげの前に現れては、マルコに戦いを仕掛けていたアスナの姿に驚いたものだ。
しかも、古参の者はアスナが船に現れると、マルコを呼びに行ったり、マルコの場所を教えていたりもした。
まるで遠方に住んでいる小さな妹が遊びに来たかのような対応にびっくりしたものだ。
それもそのはず、当時のアスナは海軍で、小さい割に階級は高い。
しかも、海賊の中では会いたくない海兵のトップに挙げられていたのだ。
そのアスナと白ひげの右腕ともいわれるマルコの間には他の人にはない妙な絆があるのだから、おかしな話である。
「エースに会ってなにをしろっていうのよ」
「まぁ、なんだ。これでももってってやれよ」
作っておいた軽食を渡せばありがとう、といって笑う。
「これ以上燃やされてもたまんないし、いってくるね!」
ひらりと柔らかな素材の巻きスカートを翻し、食堂から出て行ったアスナのことを見ながら、若いっていいなぁと考えてしまうサッチなのだった。
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