海賊
□海軍を辞めるとき
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「ん?嵐でもくんのか?」
先ほどまであんなに晴れていたというのに、空を黒い雲が覆い、遠くで雷鳴がとどろく。
エースは、帽子を飛ばされないように片手で抑え、空を見た。
「っ、お前ら全員気い抜くんじゃねぇぞ!」
三番隊のジョズが大声を張り上げる。
「?なんだ?」
「あいつがくるな」
「あぁ、久しぶりだねい」
マルコがニヤリと口角を上げながら戦闘体制にはいる。
波がうねりを上げ、飛沫が甲板にふりかかる。
「あいつ?誰だ?」
「海司だよい」
マルコの言葉にエースは目を見開いた。
あたりがまばゆく光り、轟音が鳴り響くと海面が揺れ、白い巨体がうねりを上げて躍り出る。
それは一直線に船をめがけて突っ込んできた。
「覇気を繕えねぇ奴は中に引っ込んでろぃ!」
その言葉を残しマルコは一瞬で変身すると飛び上がった。
ガッと鈍い音がし、すたりと甲板にマルコが着地する。
その横にフワリと着地した海兵。
横から叩きつけるように吹く風に、正義を掲げたコートがひるがえる。
エースは信じられない思いでその姿をみた。
海軍を辞めるとき