海賊

□オシャレの始まり
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まだこれはアスナが白ヒゲに入ったばかりのころのこと。

必要以上に外に出ないアスナ。


「買い出しにいくよい」


大きな音をたてて足で扉を蹴上げたマルコ。

アスナぱちくりと目をしばたかせた。


「島…ついたの?」
「まぁねい」


読んでいた本をパタリと閉じた。

マルコは動こうとしないアスナの腕を掴むと無理やり立たせた。


「ちょ、ちょっと!」
「いいからこい!」


ズルズルと引きずって甲板に連れていかれる。


「お、海司だ」
「まじだ」


ザワザワと甲板にいるクルーがアスナのことを見る。

アスナはその視線にため息をつく。


「その格好、なんとかなんねぃのかねい」


アスナの格好は海軍のズボンに黒の七分袖のTシャツだ。


「なんとか…って言われても」
「女だろぃ、ちっとはオシャレに興味ねぇのかい」
「オシャレ…ね」


アスナ自身自分の格好をみる。

そんな2人のことをクルーは遠巻きにじっと見ている。


「私…さ、オシャレあんましわかんないんだよね」
「?」

「服とか買いに行ってる時間とかなかったし…」
「今までどうしてたんだい?」


マルコの問いに全員がアスナのことを見た。


「今までは…クザンが適当に買ってきてくれてたかな」


その言葉にマルコが固まる。

耳をそばだてていたクルーも固まった。


クザンとは、海軍大将の青キジだろう。

そして、アスナとはかなり年齢が違う。


いわば、おっさんが女の子の洋服を買っていたのだ。

趣味の服を着せてたのかとクルーが変な勘ぐりをしている間も会話は続いていく。


「買いに行ってる暇が、ない?」
「ずっと前線にいたから…必要もなかったし」


風にゆられる長い髪を抑えるアスナ。

懐かしそうに目を細め海を見るその姿に誰が海軍の最高戦力を重ねるだろうか。


島に着くとマルコに連れられて店に行く。


(どんなのが好きなんだい?)
(動きやすければ…)
(……よい)
(お前、その服どうしたんだ?)
(マルコが買ってくれたの!)
(((マルコが⁉)))
 

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