海賊
□誕生日
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「なにルフィみてぇなこと言ってんだよ、弱虫」
「なんで、探してるだけで弱虫になっちゃうのよ」
むっと眉を寄せたアスナ。
エースがアスナのことを弱虫だとか、泣き虫だとかという度に、ぐっと眉を寄せてエースを見る。
最初のころは、すぐに目に涙を浮かべていたアスナも、今では涙を浮かべなくなった。
アスナの機嫌が悪くなってしまったかもしれない、と内心焦るものの、幼いエースにはどうしていいのかもわからない。
相手がルフィだったら、問答無用でボカリと一発ぶん殴っているのだけれども、アスナは女で、女にてを上げてはいけないのだとマキノが言っていた。
「アスナちゃんは女の子なんだから、守ってあげなくちゃだめよ」
そうどこか楽しそうな笑みを浮かべて、エースとサボに向かっていったのだ。
アスナはその時、守ってもらわなくてもいいもん!一人で戦えるぐらい強くなるもん!と顔を赤くして怒っていたけれども。
どうしようもなくて、でも海を見る気にもなれなくて、足元の草をじっとみていたら、アスナがごそりと動いた。
「はい、これ」
「?」
きれいな箱に入ったものを差し出したアスナは、もう眉を寄せてはいなかった。
それどころか、どことなく恥ずかしそうに目を伏せていた。
「マキノさんのところでね、作ったの」
味は、マキノさんの折り紙つきだよ、という。
なにがなんだかよくわからないけれども、エースは会話の流れから箱を開けることにした。
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