海賊
□誕生日
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力を入れたらぐしゃりとつぶれてしまいそうな、まっさらの箱。
きれいにかけられたリボンは、たまに町に行ったときに見かけるお店の、窓の向こう側にあるものとそっくりだ。
自分とは永遠に縁のないものだと思っていたものでもある。
「これ…」
「エース、誕生日でしょ?」
おめでとう、と当たり前のようにいうアスナ。
ルフィには内緒だよ、といってはにかむアスナ。
お誕生日おめでとう、というその一言がエースには耐えられなかった。
「別に祝ってくれなんて言ってねぇ」
「ケーキ、嫌いだった?」
「嫌いだ」
言ってからあわててアスナのことを見た。
アスナ、エースが誕生日を好きでないことを知らないのだ。
アスナのように、幸せに暮らしてきた子にとって、誕生日が嫌いだなどということはわからない。
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