深遠の絆
□4.心
1ページ/5ページ
謹慎処分を言い渡されてから三日。未だ私は狛村隊長に会いに行けずにいた。自分の為に総隊長に頭を下げてくださったのだ。お礼をしに行くのは当然のこと。だが勇気が出ない。そのことばかりが頭をぐるぐる回っていて、仕事にも修練にも手が付かない状態だった。
(情けないな。)
かと言って誰に相談する事が出来るわけでもない。十一番隊の人達に言えば、ごちゃごちゃ言ってねぇでさっさと行って来い、と言われるだけだろう。
(あ、そっか・・。)
私だって十一番隊の隊員なんだ。
真実を知るのは怖い。心の裏側を知るのは怖い。それは相手が自分にとって大切な人ならば尚更。けれど十一番隊は恐怖、という感情を持つ事を許されていない。相手がどんなに強くても、自分がどんな状況に晒されていても、背を向けず立ち向かう事だけが唯一無二の掟。そしてそれは私も遵守しなければならないこと。
(・・あの場所に行ってみようか。)
初めて狛村隊長と同席した場所。そして私が想いを告げた場所。もし狛村隊長が私の霊圧に気付いたら、あの場所には近づかないかもしれないけれど。
(それなら、いくらだって待てばいい。)
逃げない。諦めない。背を向けない。
私も十一番隊の隊員なのだから。