court

□ようこそ魔法の世界へ!
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『つっめたぁ〜……
!……ちょっと綱吉、しっかりして』

「うわー…白蘭のやつよくも…
…あれ、姉ちゃん若返ってた?」

『…綱吉も縮んでるよ。
ってそうじゃない、あたしたちイタリアに居たでしょ』

「あぁ…ほら、10年バズーカ的な何かで飛ばされたのかな、って思ったんだけど……違うみたいだね」

『当たり前。
構えてよデーチモ?誰か来る。』


少し甘い匂いがする液体に濡れたまま、気が付いたら手に持っていた愛刀を握り、昼間にもかかわらず薄暗い森の奥を睨みつけた。
相手は草木をを踏みつける足音を消していない。
そのことから、少なくともあたしの同業者ではないのがわかる。
それでも気は抜けない。

グローブを着けた綱吉が音も無く隣に並んだのに対し、現れた人物は大きな声で「どうやってここに入った!」と英語で叫んだ。
綺麗な英語だ。
この全身黒づくめの男はイギリス人なのだろうか?

あたしがどうでもいい疑問を抱いている横で綱吉は平然とダメツナと呼ばれていた時代を思い出させるような演技でウソをついていた。


「そ、それが俺達にも良くわからなくって!」

「…よくわからない?」

「は、い。
友人の家で倉庫の片付けをしていたんですけど、気付いたらここにいて………あの、ここどこですか?」

「…………ここはホグワーツだ」

『ホグワーツ?聞いたことないわ。
ここはイギリスじゃないの?アメリカ?オーストラリア?ニュージーランド?』


本当に聞いたことがない名称だった。
何かの建物の名前なのかとも考えながら、とりあえず英語圏と連邦加盟国の名前を上げてみた。
もともと皺が刻まれていた眉間をさらに寄せた男は「マグルなのか…?」と一人小さく呟いてから「ついて来い」と一言だけあたしたちに投げかけて道を戻って行った。
綱吉と顔を見合わせ、2人の超直感にしたがってそのあとを追う。

綱吉の後ろを歩きながら神経を尖らせて頭の片隅で考えるのは、先程男が呟いた「マグル」という言葉について。
ホグワーツ同様聞いたことのない言葉ではあるけれど、あの言葉はあたし達に対して使った言葉のように聞こえたから、特定の組織の中で使われている造語なのだと思う。
時々何かがこちらを見ているような気配があるけどその気配達はなぜか、絶対に近づいて来ない。

森から抜けると、大きな城のような建物が目の前に現れた。
その城の中を馴れた足どりで進む黒い背中を追って居るんだけど、ここ、なんだかおかしい……!!

なんで廊下に飾られてる絵画が喋ってるの。
なんで階段が動いてるの。
時々すれ違う半透明のアレはなに……!
まさか英語だとgで始まってtで終わる非科学的なアレじゃないでしょうね…!!?


「あー、姉ちゃん大丈夫?」

『…………アレがファンタズマとか言われるような物でなければ大丈夫』

「……俺の直感だとソレだと思うんだけど……」

『あぁ……もう嫌…白蘭の奴ぶっ殺してやる………』



ようこそ魔法の世界へ!



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