黒猫
□強風警報発令 前編
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『うわー……』
「ひどい、です……」
「血まみれにゃー!」
廊下は、敵味方問わずの返り血だらけ。
あのヴァリアーを、ここまでにするなんて………
『こっちだね』
新しい血のにおいを頼りに走り出す。
と、同時に。
幹部達に繋がる無線を取り出す。
『………ボス?』
「あぁ……、のあか。 どうした」
『アジトが敵の襲撃にあってる。相当強い奴ら。今すぐ帰って来てよ』
「ししっ、何?どーしたのあ」
『…話聞いてた?早くしないと、潰されるよ』
ブツッ
無線が切れた。
「のあー♪久々の実戦だねー♪」
風がのんきに構えると同時、敵らしき人の殺気が体に突き刺さる。
「…………どういう事だぁ?」
場所は変わり、ボンゴレ本部。
ただいま絶賛会議中でした。
のあのトンデモな無線が入り、ヴァリアー幹部は会議を抜け出した。
「あののあが切羽詰まってたんでー、嘘ではないですねー」
「だとしたら一大事よぉ!今すぐ戻らないと!」
「ここからアジトまで一時間はかかるぞ!?」
「……戻るしかねぇ。いくぞ」
「ししし、ボス嬉しそうだし」
「会議サボれますしねー」
「ゔおぉい、飛ばすぜぇ!」
作戦隊長が叫んだのとほぼ同時、幹部達は風のように走り出した。
『…来たねー。風、呼んだら助けに来て』
「呼ぶことはないと思うけど、でしょ?いつも通り、ね♪」
『ん、じょーでき。風はそれまで怪我人を直してて。』
「りょーかいにゃ!」
隊員とメイドはボクの部屋に待機。あ、風もね。
血生臭い空気が漂う廊下にボク一人、大鎌を持って佇む。
黒いジャージは、既に半分くらい血で赤く染まっている。
足音や銃声、それに金属同士がぶつかる音が聞こえてきた。
………よし。戦闘開始っ!
「のあ様っ!」
『ありがと、ボクの部屋入ってて』
頑張って敵を引き付けて来てくれた隊員達はボロボロ。
何とか動くことが出来るくらい。
……あの天下のヴァリアーがねぇ………。
敵は… 10人くらい?結構減った。
相手を鋭く睨み付けて、怯ませる。
その間に、隊員達が無事に部屋に入ったのを見届ける。
みんなボクの身長より大きい武器を見て、ビックリしてた。
本当に大丈夫?みたいな視線が。
すぅっ、と大きく深呼吸。
『……さぁ、大切なみんなを守りましょうか。』
鎌に白い炎をともす。
これにより切れ味が増す。雷属性の硬化が作用している。
さらに、嵐属性の分解の炎も混じっているので、傷さえつければそこから分解が始まる。
ボクの炎の純度は一級品。
小さな嵐の炎でも、それを雲属性で増幅すれば分解はあっという間。
さぁて、サクッと終わらせて、みんなの治療をしなきゃ。
『ね、かかってきたら?』
ボクみたいな人物がいるなんて情報は、何処にも入っていないだろう。
そのせいか敵たちは、少々まごついているようだ。
もー、じれったいな。こっちから仕掛けちゃうよ?
そう言わんばかりに殺気を強くすると、敵は体制を立て直し攻撃姿勢に入る。
『………そうこなくっちゃ』
不意に、大好きな母さんの声が頭をよぎった。
後編に続く