黒猫
□匣兵器?武器のうちだよ
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「ししっ、ただいまー♪」
『お帰りー、て、何それ!』
「キイッ!」
溜まっていた仕事も一段落し、談話室でのくつろぎタイム。
それを満喫しているとき、面白いものを発見した。
任務帰りで血に濡れたベル、の肩に乗っているふわふわした動物。
耳と尻尾に、嵐属性の死ぬ気の炎が宿ってる。
なんか雰囲気がベルに似てるな、この子。
「は?嵐ミンクだけど。 お前本当に武器職人?」
『へー、風以外の匣兵器初めて見た。ボク、本当の武器専門だからさー、匣は作ったりしないの』
「あぁ、つまり、剣とかナイフとかしか作れねーんだ」
『ほっといて。 ……ひゃー、可愛いー』
そっと手を伸ばすと、ミンク?のほうから擦り寄ってくる。
数回頭を撫でてやるると、ミンクの方からボクに飛び乗って来た。
『わー、ふっわふわ!』
「うわ、ミンクが懐くとか珍しいし」
『? そうなの?』
「ホントですー。その子、ミーには懐いてくれないんですよー」
「どっから出てきたんだよクソガエル」
『あ、フラン』
談話室にいつの間にか居たフラン。
ボクの肩にいるミンクに手を伸ばすと、シャーッ!と、威嚇される。
「ねー? 主人に似て、しつけがなってないですー」
「ぶっ殺すぞお前」
『にゃはは、すげー威嚇してる』
全身の毛を逆立てて、歯をむきフランを威嚇するミンク。
ガルルルって…… そんなにフランのこと嫌いなの?
そっと撫でてやると、ミンクから擦り寄ってくるのがもう………
『可愛いなぁー!』
「キュッ!?」
ついつい抱きしめてしまう。
だって、モコモコは正義なんだよ!
小動物の可愛さは、他のやつらに守られるための計算なのだとボクは思うね!
ふわふわの毛に顔を埋めると、なんだか眠たくなってくる。
尻尾の毛のボリュームが堪りませんな。←
「ししっ、ミンクそろそろ帰ってこいよ」
「ギィッ!」(ヤだね、のあ、気持ちいいもん)
「…っはぁ!? てんっめ、」
なんと従順であるはずのミンクが、主人の言うことを完全無視。
動物であるのをいいことに、のあの顔に鼻先を近づけて――――………
ペロッ
『っふぁ! 何ー?』
「「コイツぶっ殺す」」
『わ、ちょ、ナイフ投げないでよ。フランも何?いきなり殺気出して』
ミンクはあろうことか、さらにベルとフランを挑発。
「キキッ♪」(のあ取られて悔しい?)
しかも、のあに守られて腕の中でのんきに体を擦り寄せている。
のあものあで、警戒もせずにされるがまま。
まさかこの殺気の原因の一端を担っているなんて事には、さらさら気付かない。
あのさー、そこ、のあの胸なんだけど。
((この野郎………っ!))
男連中の中で、殺気が渦巻く。
たかが匣兵器、されど匣兵器。
嫉妬の対象は、人間だけとは限らない。
「っ、さっさと戻れミンク!」
「むー!ハウスですー!」
『にゃはっ、ハウスとか。匣が家かな?』
「キュイッ」(けっ、誰が戻るかよ)
「……のあ、お前からも言ってくんね?そしたら入る気がする」
何を思い付いたか、ポケットから匣を取り出すベル。
ちょっと思案顔になった後、匣をボク腕の中にいるミンクに向ける。
『だってさ、ミンク。ハウス』
「キイー…」(入りたくないんだけど…)
『はい命令。ミンク頭いいんでしょ?』
「キッ!」(なんか従わなきゃいけない気がする!)
シュッ、パタン!
ベルの匣が閉じる。
「……なんかさー、」
『ん?』
「のあにだけ妙に聞き分け良くね?」
『そうかなー?』
「あー。もしかして、武器職人だからじゃないですかー?」
『あそっか、匣兵器も一応武器だもんね』
「なんか、感じ取ってんのかもな「バラされる!」とか? うししっ」
『失礼なっ! ……んでも、たまたまミンクが懐いてくれただけだと思うよ?他の匣兵器は違うって』
「……なら、試してみませんー?」
「何をだよ?」
「のあが匣兵器を操れるか、ですー」
『……ヘ?』
「うししっ、面白そー。試しにロン毛探そうぜ」
『えぇー、スクアーロ任務じゃないの?』
「とりあえずレッツゴーですー」
『あいだっ!ちょ、引きずんな馬鹿ガエルーっ!』