黒猫

□tea time!
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「のあちゃん!お茶でも飲みましょう!」



みんなも誘ったから、準備が出来たらバルコニーに来てちょうだいね!


そう言い逃げしたリア姉を追いかけようとして出た、廊下の甘いにおいに誘われたのがついさっきのこと。

ふわりと鼻をくすぐる香りに、誘われない甘い物好きはいないだろう。




いったん作業(銃の組み立て)を中断し、バルコニーに向かって歩みを進める。


みんなって、みんな?

幹部のみんな?

仕事とかないのかな…。ボクはこんなにも忙しいのに。


そんなに暇なら手伝って欲しいくらいだよ。

猫の手だって借りてるんだからね。(提供、風猫)



甘いにおいを頼りに、行ったことのないバルコニーを探し求める。


その後、顔見知りのメイドさんに案内をお願いしたけど。












くんくんと鼻を鳴らし、メイドとともにバルコニーにやってきたのあちゃん。


今日は太陽がまぶしい快晴。

お外でティータイムってのも悪くないでしょ?ンフ♪




まぁお茶なんていうのは名前だけで、本当はみんなのあちゃんと仲良くなりたいのよ。


この子ったら妙に真面目で仕事熱心だから、あまり談話室とかで顔を合わせないし。

部屋に遊びに行ったら行ったで、『ちょっと、邪魔かなー…』みたいな視線を向けるし。



こんな風に機会を作ってあげないと、あんまりお喋りとか出来ないのよー!


だ・か・ら!





「今日はたっくさんガールズトーク展開するわよー!」

「こんな男だらけでですかー?」

「ガール「ズ」なんてどこにいんだよ。女はのあしかいねーっつの」

「ひどいわ二人とも!ちゃんとここにもいるじゃない!お・ん・な・の・こ♪」


「「「うぉえ」」」


「ちょっとぉ!スクアーロまで何よ!そろって吐くことないじゃない!」




そんな私たちの様子を見て楽しそうに微笑むのあちゃんを、テーブルの真ん中の席に座らせる。

誰かだけに独り占めなんてさせないわよー!



にしてもこの子、やっぱりよく笑うようになったわ。

来てすぐのときなんか、ニコリどころか、表情がピクリとも変わらないんだもの。


やっぱり、ボスの前で泣いてたあたりから変わったわね…。




女の子は笑顔が一番よのあ!その調子で頑張りなさい!!







『うわ、おいしそう!』

「スフォリアテッラを作ってみたのよ♪おいしく出来たと思うけど…」


スフォリアテッラは、貝の形をしたお菓子で「ひだを何枚も重ねた」って言う意味があるの!

中身はカスタードクリームにしてみたわ!

私が入れたアップルティーと一緒に召し上がってちょうだい?




「って、聞いてないわね…?」

『わー!初めて食べたー!』



おいしー!とかいいながら、次々とスフォリアテッラをほおばっていくらいむ。

かわいい顔で笑っちゃって、ほっぺたにクリームついてるわよ?


ウフ、ほんとに可愛いんだから♪





「う゛ぉおい… ついてるぞぉ」

『んぅ?』

「「っ!!」」




あらスクちゃんってば、やるときはやるわね!

のあのほっぺについていたクリームをそっとぬぐい、自分の口へと持っていく。


んもう、そんなことされたら女の子は弱いのよぉ?





『ありゅがひょー』(訳・ありがとー)

「……ししっ」

「鈍くてよかったでーす」

「う゛ぉ、何のことだぁ?」






スクアーロったら、無意識だったの?

相変わらずお母さんみたいに面倒見がいいわねぇ。(ほっとけぇ…)



それよりも今、問題なのは……





「のあちゃんっ!!!」

『っ!? っく、うっ、』

「ちょ、大丈夫かよ!?」




……あら、詰まらせちゃったわ。

なんかこのシーン、既視感あるわよ…


アップルティーで飲み干す。

ごくりとのどを鳴らすその姿、微妙に男心を煽ってるの気づいてるかしら?





「…それよりのあちゃん!」

『っはい!?』




びっくりして姿勢を正す。

いいわ、そのまま心して聞きなさい!





「あなたには、乙女心が足りないわよ!!」



『……はぁ?』




「たとえば今のシーン!普通の女の子だったら赤面したっておかしくないのよっ!」



なのにお礼言って終わりなんて、そんなんじゃ駄目よ!

つまらないのよそんなんじゃ!

女の子は表情豊かでないと!





「今日はのあちゃんの「乙女心」を鍛えるわよ!」

『……えー』

「もう!ちゃんと返事しなさいよ!」










   
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