黒猫
□ドキッ☆暗殺者だらけのサマーキャンプ(仮)
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『……あ、フラン』
「おー、早かったじゃないですかー」
荷造りを適当に済ませて談話室に戻ると、既に支度を済ませていたらしいフランがソファーに座っていた。
フラン早いな。 荷物少なかったのかな……
ベルはなんとなく寝てそうだし、スクアーロはなんかいろいろやってそう。
普通に準備してたらこれくらいが普通か。
普通が一番だね、うん!
ゆっくりとフランの向かい側のソファーに腰を下ろした。
「……隣に座ればいいのにー」
『…………? なんで?』
「なんでもない、ですー……」
なんかしょげちゃったよフラン。
そらされたその表情は、寂しそうというか何と言うか………
小さくため息をつき仕方なくフランの横に席を変える。
「…あ、」
『こっちのほうがいいんでしょ?』
「……はいー♪」
『うわ、くっつくなぁー』
隣から腕をまわし抱き寄せられる。
くっつきたいだけか全く。
まぁ逃げる理由も断る理由もないので、体の力をくたりと抜いてフランに寄り掛かってみる。
「………え、あの、のあ?」
『なーにー?』
「なんで寄り掛かって………」
『……眠い』
あ、動揺してるよ。
あの無表情なフランが。
フランをからかうの、案外楽しいかも……♪
甘えるように頭をすりすりしてみる。
「うわ、のあー……っ、」
『へへ、フーラン♪』
「……っ、反則ですーっ!」
『っわ……ぁ!?』
ぐいっ。
急に体に無理矢理な力を加えられ、ボクの体がソファーに沈む。
そしてそこにさらにのしかかる温かい重み。
目の前には、綺麗なエメラルド。
『……フラ、ン?』
「…アンタのせいですからー。責任取れ」
『っちょ、ぇえ……っ!』
ちゅ、と頬に軽いキスを落とされる。
フランの体をはねのけようと、じたばた暴れてみてもびくともしない。
キミ、こんなに力強かったっけ………!
……はっ、談話室の扉の向こうから誰かの気配!
開いた扉の先にいたのは。
「ゔお゙ぉい……」
「あ、アホのロン毛隊長ー」
「あ、じゃねぇぇ! 何やってんだぁフラン!!」
『スクアーロー、へるぷー』
ちょうどなタイミングで荷造りを終えたらしいスクアーロが談話室に到着。
チッ、邪魔が入ったー… とか言いながらもしぶしぶボクの上から下りるフラン。
び、びっくりした……!
フラン思ったより全然力強いから……!
『……ダメだ、やっぱ眠い』
「寝ててもいいですよー?ミーの肩限定でー」
「お゙ぃ、何言ってやがるフラン!」
『あそー?じゃあ肩借りる』
頭をとん、とフランの肩に乗っけた。
再び驚いたような声が上方向から聞こえたような気がするけど気にしない。
だってボクは眠いから。
言ったことくらいは責任取りなよねフラン。
そして問答無用でゆっくり目を閉じると、意識はあっという間に闇の中に堕ちていった。