黒猫
□白、黒。
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『っふ、ベル ぅ、?』
「……は、目ェ瞑れ」
『や…、んぅ』
なに、どういうこと?
あれおかしいな、なんで?
なんでボク、ベルにキスされてるの?
何がなんだかわからないままに促され目を閉じると、なにか熱いものが唇を割って滑り込んできて驚きに体が硬直する。
苦しさとかなんかいろいろでベルの胸を叩いてもびくともしない。
やだ、ベルねぇなんで?
いきなりこんなの、わけわかんないよ!
しばらくして。
名残惜しそうにゆっくり離れる、唇。
『っ、は ぁ…っ』
「………っ、」
『…べ、る…?ねぇ っん、』
口を開こうとしたところで、また口を塞がれる。
今度は軽い、バードキス。
名残を惜しむように離れる、艶やかな薄桃色を目で追って。
苦しくなった肺にいくらか酸素を送るために深呼吸。
ねぇベル、なんで。
怒ったりしないから理由を教えてよ。
『………ね「何も言うな」
何も言わないで、頼むから。
弱々しい声でそう言いながら、すがるようにボクの胸に崩れ落ちるベル。
強く抱き締めてくるベルの腕は、小さく小さく震えていて。
……何も、言えないよ。
まだよくわからない雰囲気に酔い呆然としたまま、手が届いたベルの震える金髪をなんとなくくしゃりと撫でた。