黒猫

□cat meets varia!
2ページ/7ページ


「ししっ、この任務全員で行く必要なかったんじゃね?」

「あっという間に終わりましたねー」

「こんなもんだとはなぁ…拍子抜けだぜぇ」



ヴァリアー幹部全員で出向いた任務、あるファミリーを潰すこと。

しかし、強いはずだったそのファミリーは足を運べばあらびっくり。

突然の内乱によって壊滅寸前だった。


要するにその任務は結局たいしたことのないCランクもいいところの任務になってしまった。

予定時刻より大幅に早く終わってしまった任務に、幹部全員は物足りなさを隠せない。


そして、みんなで帰るところである。



「てか王子歩くの怠いんだけど。迎えの車は?」

「渋滞で来れないらしいわよぉ♪」

「渋滞、ですかー……」

「ボスを歩かせるとは何事だ!」

「ゔおぉい、うるせぇぞレヴィ!」

「お前が一番うるせぇ、ドカスが」



てなわけで、暗殺部隊歩いてます。

アジトまでは大体30分くらい?の道のり。

真っ黒い服に身を包んだヴァリアー幹部達が街中を白昼堂々と歩いています。



――チリ、ン



不意に耳に届いた、澄んだ小さな金属音。

幹部達の視線が自然にそちらへと向く。



「……うわー。 あれ、見るからに怪しげな奴ですねー」

「あら、本当ねぇ……」



…………そこに、いたのは。


足まで届く長くて真っ黒いコート。

顔を隠しているフードには、大きな猫耳。

首もとで揺れる、赤いリボンで結ばれた大きな金色の鈴。

小さい体で大きな黒いトランクを引きずって、これまた白昼堂々と歩いている。


そんな怪しい格好した奴が暗殺部隊の前から歩いて来た。

そして、すれ違う。


その怪しい奴から大分距離を取った後、幹部達は口を開く。



「……なんだぁ?アイツ」

「あれ猫耳かしら?可愛いわねぇ」

「ぬぅ、一体何者だ?」

「あー、王子アイツのこと聞いたことあるかも」

「そうなんですかたまには使えますね堕王子、でっ」



カエル帽子に深くナイフが突き刺さった。



武器職人、黒猫。


年齢、性別などの正体は一切不明の完全秘密主義。

腕は世界一を争えるほどらしいが、法外な料金をとることでも有名。

街中で普通に取り引きする図太い奴。



「そんくらいしか知らねーけどな」

「オレも聞いた事くらいはあるなぁ。こんな近くに居やがったのかぁ…」

「あ、もしかしてこれから取り引きするんじゃないですかー?」



黒い小さな物体が向かっている先には、どこかのファミリーが。

向こうもトランクを抱えている。

多分、中身はぎっしり詰まった金だろう。



「うししっ、なんか面白そー。ちょっと見てかね?」

「えー、ミー早く帰りたいんですけどー」



そういいながらもみんなは、足を止める。


何故かというと、その取り引き相手と見られるファミリーから殺気が出ていたから。



  
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ