黒猫
□黒猫のご飯
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のあ、ミーの部屋でいいんですねー。
内心拒否されないかヒヤヒヤしましたー。
男だと思ってたけど、可愛い女の子だったら話は別、寝かせてあげるのも悪くないですー。
あ、やましい気持ちはありませんよ?ただ仲良くなりたいだけなんでー。
まぁそんなの。
今の所は、ですけどねー。
右斜め前で、動きを停止しているのあ。
やっぱ、そのフードじゃ食べられないですよねー。
もう予約済みなんで、ばらしちゃってもいいんじゃないですかー?
「あ、」
「なぁにフランちゃん?」
「いいえー、なんでもないでーす」
さりげなーくフード取りましたねのあー。
幹部のみんなは、話に夢中で気付いていないようですけどー。
と、思ったらボスが立ち上がりましたー。
「黒猫…… てめぇ、女か?」
ボスの一声で、幹部全員がそちらを向く。
「ありっ?」「な゙ぁ!?」「あらぁん♪」
『んぐっ!?』
「わ、大丈夫ですかー?」
急に話を振られて驚いたのか、喉にスパゲッティーを詰まらしかける。
水を渡してやると、慌てて飲み干す。
そんなに急いでー…。 余計詰まらせそうに見えるのは、ミーだけですかー?
全員の視線がのあに集まる。
見られるのには慣れていないようで、目をぱちくりさせながら泳がせている。
あ、ちょっと可愛いとか思っちゃったじゃないですかー。
基本無表情な子のああいう姿って、見てて面白いというかー、新鮮味がありますねー。
ま、ミーが言えたことじゃないですけどー。
『んっく……、はあ』
やっとの思いで飲み干した。
息を落ち着かせてからの発言。
『うん。まぁ、生物学上は女だよ』
生物学上って……、おいおいー。
「「「「っえぇぇぇえええ!!?」」」」
「うるさいですー」
「ちょ、おま、なんで言わねーの!?」
「そうだぞぉ!てっきり男だと…」
『そっちが勝手に解釈したんじゃん?ボクは知らないよー』
素知らぬ顔でしらばっくれる。
目を合わせるのが気まずくなったか、ふいっと視線を逸らす。
「もー、一言いってくれればいいのに!」
『ボクとしては女って見られたくなかったからちょうどよかったです』
「ふざけんなドカスが、性別くらいまともに知らせろ」
つーん。
悪びれる素振りも見せず、知らんぷり。
ボスをシカトとか、いい度胸してますねー。
「いやーん、可愛い顔してるじゃない?」
『え、可愛いとかありえないよ。目が腐るって』
「腐るって…。全然可愛いんじゃねぇかぁ?」
食事中なのにも関わらず、向かいに座っていた人達は立ち上がり近づいてくる。
ベルとリア姉も、ジロジロと両サイドからボクを見てくる。
やめてよー、視線苦手なのにー。
「あっカエル!お前、のあが女だって知ってたんだろ」
「知ってましたけど、それがなにかー?」
チッ、感が鋭いなこの王子(仮)ー。
「だから自分の部屋で寝かせようとしてたんだ?きったねー抜け駆けじゃん」
「違いますよー。センパイたちが嫌がってたので、親切心ですー」
「カエルも嫌がってただろ!」
「そんなの知りませーん。ミーが先約ですからねー、堕王子」
「チッ、死ねカエル」
『うわ危なっ』
なんか横で言い争いが始まったー!
いや、むしろ乱闘? でも攻撃は一方的だ。
「のあ可愛い顔してんじゃん、マジでカエルセコすぎ」
「こんなの早い者勝ちですよセンパイー」
いや、待て。話が読めない。
『ベル、ボクが可愛いと?ありえないありえない』
「は? なに、のあ可愛いじゃん」
『目取り替えたほうがいいよ。むしろ前髪切れ』
「……ケンカ売ってんの?」
「ナイフ出してんなです堕王子ー」
「っ…、ここで自害しろカエルっ!」
あーあー、せっかくケンカ止まったと思ったのに。
また始まっちゃったし。
「いいわのあちゃん。放っておいてご飯食べましょう」
『え、いいの?』
「気にするな。いつものことだぁ」
『……あれが、日常茶飯事だと?』
ナイフがグサグサ刺さってるよフラン。
大丈夫かあれ。
席についたら、気持ち悪い髭をした人(レヴィって人だと後から判明)が「妖艶だ…」とか言ってたのは、聞かなかった事に。
うぉう、鳥肌が。