黒猫

□ヴァリアーの食後運動
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「ゔおぉい、誰から引くんだぁ?」

「ししっ、王子からじゃね?」

「ありえないですー。そこは可愛い後輩からでしょー」

「オレからだ」


「「「ボスかぁー………」」」



そうして、適当にリア姉の手の中にある割り箸を抜き取っていくみんな。

あーすんげぇ真剣。暗殺の時もこんな感じなのかな。


……その集中力、今使う物じゃないだろ。




「はいのあちゃん。好きな方取って?皆まだ見ちゃダメよーっ」

「のあ早くー!王子が王様になる瞬間だぜ?」

「うーわー、何ですかそれ、真面目にひきますー」

『ん…、じゃあこっち』



左の割り箸を選んだ。

別に、どっちでもいいからね。



「はい、オープンー!」


このやり方、面倒だな。わざわざ、一斉に見なくてもいいんじやないか?



「「「「うわあぁぁぁぁああっ!」」」」

『えー、どんなだよ』



なに一斉に絶叫してんの。

マジになりすぎじゃないかな……



「王子が王様じゃないなんて……」

「ふっ、自信満々に引いといてそれですかー?」

『王様とやらは誰になったって?』

「オレだ」

「さすがボス!」


(((((ボスかぁー………)))))



なんか…… うん。

まぁ、妥当じゃね?


てか、命令するのっていつものことだし。むしろいっつも命令ばっかじゃん。きっと。ボスだし。



「じゃあ、命令だ。」



(((((ごくり………)))))



あのボスが、生温い命令なんてするはずない。

自分が当てられないことを祈るばかりだ。

ちなみにボクは3番。 微妙なの引いた。



「……5番が……」

(よし、ボクじゃない!)



「……ベスターの餌をやってこい」



「「「「『自分でやれよ』」」」」



べスターさんはボスの匣兵器でライガーらしい。

自分の匣兵器だろ……。

食われんの? ボス食われんの?

だから人にやらせるのか!?



「ボス… オレに仕事をくれるのか!」

「5番お前かよ」

『うはw いってらw』

「のあ… 楽しんでんな」



だって、このレヴィがまともに餌なんてあげられる訳無いじゃん。

そのまま食われちまえ。



そしてレヴィ脱退。

走っていったレヴィ。嬉しそうな顔をしていたのは言うまでもない。



「じゃあ、5番までに減らすわね!」

『にゃは、帰ってこないの前提なんだ』

「うしし、にゃはって何だし?」

『笑い声?』

「変なの!うししし!」

『うーん、ベルに言われたくないなー…』




一斉に見るのは面倒になったので、次からは引いたそばから見ていくことに。

誰が王様かすぐ分かります。



「うしし! 次こそオレがおうさm…」

「うわー、ざまーみやがれですー」

「ポーカーフェイスのカケラもねぇなぁ」



手に取った瞬間にがっくりしたベル。

見てるこっちは面白いけどさ… そんなにも王様になりたい?


ボクは命令されなければなんでもいいや。



「あらぁ、アタシが女王様よぉ!」

「さりげなく女王とか言ったよコイツ」

『あ、ボクまだ引いてないや』



残りの一本を手にとる。

んー、5番だね。またなんか微妙な……



「じゃあ、2番と3番の人はこの服を着てちょうだい!」

「えー、ミーですかー?ふざけんなよクソオカマ」

「ゔおぉい! なんだそれはぁ!」

「何って……」




リア姉が嬉しそうに手に持っているそれは。



フリフリなエプロンに紺を基調とした、シックなデザイン。

ふわりと広がるスカートは、ドレスを連想させる。けど、実際は逆。


それは、城に使える使用人(女)が必ずや身につけなければならない衣装。




「メイド服よぉん!!」

「ゔおぉいふざけんなぁ!」

「ミーそんなの絶対着たくないですー」

「ししし、メイド服とかマジウケるんだけど」

『にゃはははは!早く着てきなって!』

「本当は、のあちゃんに着せたかったのよねー、残念だわ」

『わ、わー。そうなんだー』



メイド服なんて死んでも着るか馬鹿野郎。


こうして、フランとスクアーロは一度席を外す。

それぞれ、リア姉に渡されたメイド服を持って。




………しばらくして。



「あら、なかなかいい感じじゃなぁい?」



みんなの前に現れたのは、



「ふっ!いいザマだなスクアーロ」

「うるせぇぞレヴィ!」



例のメイド服を見事に着こなして、



「うししっ、カエル似合わねー!」

「知ってますー……」



幹部の威厳なんかは微塵も感じられない、



「ぶはっ、おもしれぇ!」

『おー、これは意外と……』



スクアーロと、フランだった。



「ゔおぉ…い、スカート丈短いぞぉ…」

「スースーするんですけどー」

『異常なまでに似合うなキミ達』



フランはもともと中性的な顔してるから、すごくしっくり来る。

エメラルド色の髪に、白いフリフリのカチューシャは似合う。サイドのリボンが可愛い。


スクアーロも、綺麗な銀髪が紺のメイド服に映える。

目つきは鋭いけど、キツめの美人さんって感じに見える。




『ふーん、成せば成るもんだね』

「……そうですかー?」

「無理して褒める必要ないぞぉ……」

「結構着こなせてるじゃない!」

「なー、次やろうぜー」

「カスどもはほっとけ、次だ次」




頑張って着てきたのに、扱いこれだけ。

可哀相すぎるんだけど……。

ボク的には結構アリだけどなぁ……?


二人が不憫で仕方ない。

メイド服のまま幹部の輪に入る。




  
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