黒猫

□黒猫の睡眠
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言えませんよね、横顔に見とれてたなんて。

今ののあ、破壊力がすごいんですよー。



眠たそうなとろんとした漆黒の双眸。

無表情じゃなくて、例えるなら癒し系の顔、ですかねー。

ちょっとおぼつかない足取りも、目をこしこしとこするその動作も。


なーんか、可愛いんですよねー。


眠たい、だなんて子供じゃないですか。

ま、怒るでしょうから言いませんけどー。



「はい、どうぞー」

『おじゃましまーす』



そしてのあをミーの部屋に通す。


あー、へんなものとか置きっぱなしにしてませんよねー。

一応堕王子じゃないんで、片付いてはいますけどー…



この部屋に女を通すことはあっても、のあみたいなタイプいなかったからなー…

そのきれいな瞳には、ミーの部屋はどう映ってますかー?



『おぉ、結構きれいだね』

「そうですかー?」

『ん。男の子の部屋入るの初めてだけど、片付いてるもんだねー。こういうものかー』

「……堕王子の部屋は、酷いですよー」



ミーGJ。掴みは悪くない。


てゆーか男の部屋入るの初めてとか…

さりげなくアピールしちゃってるんですかー?ちょっとときめいたじゃないですかー。

根っからの天然って怖いですねー。



ひょいひょいとポニーテールを揺らして部屋の中に入る。

二、三度部屋を見回して、その辺のソファーに座って、一息。



『あ、そーだお風呂とかある?』

「ちっこいのなら部屋についてますよー」

『よし借ります』



お風呂入ってからじゃないとよく寝れないんだよねー。

とか言いながら立ち上がる。



ちょ、え、マジですかー!?

男の部屋の風呂に入るとか不用心極まりないですよー!


しかし、当ののあはそんなことに気づきもせず。



『お風呂どこー?』

「あー、そっちですー」




部屋の隅を指差すと、ててて、みたいな効果音がつきそうな歩き方で進んでいってしまう。

入っちゃうんですかー…?


まぁ、あえて何も言いませんけどねー。

んー、ミーってば賢い。



そのまま扉に手をかける。

かと思いきや――――……



『あ、入っても着替えがないや。しょうがない、今日はあきらめるかな…』

「うわ、きたなー」

『汚くないから。ふざけんなカエル』

「カエル呼ぶなですー」

『知らない』



ぷいっと首を方向転換。


だーから、そういうところがガキなんですって。

普通「ぷいっ」なんてしないでしょー。


違和感まったくないですけどー。



「ミーのTシャツでよければ貸しますけど、どうしますー?」

『おぉ、いいの?じゃあお風呂入ってくる』

「出しときますー」



妥協案が出て安心したのか、さっきよりもしっかりした足取りでバスルームへと向かう。



っていうか……

自分の服着せるとか、男のロマンじゃないですかー!?

やばいですー、今ちょっとニヤけてますー。


さてー、Tシャツとかバスタオルとかその他もろもろ準備しないと…



ミー、普段はこんなこと絶対しませんよー?

思ったよりのあにベタ惚れみたいですねー。

ほぼ初対面なのに困ったものでーす。





  
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