黒猫

□黒猫の睡眠
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「えーと、新しいタオルは確か……」



そのとき、無造作に部屋の扉が開かれる音。

何事かと部屋の入り口の方を見ると、そこにいたのは。



「ッチ… カエルだけかよ」

「…は?」



…出たな堕王子め。


ノックもせずに人の部屋にズカズカ入り込んでくるのは、ティアラを乗っけた自称王子。



「自称じゃねーし」

「ぃだっ! 何なんですかいきなり、勝手に入ってこないでくださいー」

「うしし、しーらね。だってオレ王子だもん」



ここに拉致されてから何度目になるか分からない堕セリフをスルーして、やっと見つけたタオルを引っ張り出す。


よし。

タオルにTシャツに短パン。

下着はさすがに用意できませーん。



それを見た堕王子もさすがに気づいたのか。



「何、のあ風呂入ってんの?」

「センパイには関係ないですー」

「関係あるっつーの」



またもや飛んできたナイフを華麗に避ける。

ミーだってたまには避けますー。


後ろのほうで舌打ちが聞こえたがシカト。



まだのあがお風呂に入っていることを確認し、手早く手の中のものを置いてくる。

「ここに置いておきまーす」『んー』

声かけも忘れずに。



「ししっ、カエルずいぶん必死じゃね?」

「…何がですかー」

「のあ。そんなに気に入ったわけ?」


ずばりと言い当てられ、一瞬言葉に詰まる。


…仕方ないじゃないですかー。

化粧濃くして香水振りまいてるケバケバ女なんかより、のあのほうが断然可愛いんですもんー。



「ま、それはオレも否定しねーけどさ」



ベルセンパイもやはり感じ方は同じだったらしい。


新鮮さって、大事だと思うんですよねー。

しかものあ、見てて飽きないんですよー。

まだこんな短時間ですけどー。


ポーカーフェイス気取ろうとして、頑張ってる所とか。

時間かけてでも崩してやりたくなるんですよね、あーいうの。



「ふーん」



今のところの本心を語ると、ベルセンパイは面白くなさそうに鼻を鳴らす。



「ま、最終的にのあはオレの姫。ってことだから」

「はぁ?寝言は寝て言えよ堕王子。のあはミーのにしますからー」

「カエルなんかに負けねーし」

「それはこっちのセリフです。王子(仮)」

「ってめ!!」



空気を切って、ミーのすぐ横をナイフが通過する。


痛っ、何本か刺さりましたー。



…あれ?


今、ミーの後ろで「カチャッ」って、扉の開く音が…




  
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