黒猫
□強風警報発令 前編
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『ふぁー…。一仕事終えたぜ…』
手がかじかむ真冬のこと。
仕事であった剣を研ぎ終え、ホットミルク+大さじ一杯の砂糖によって、癒されているところです。
はぁー。 あったまるぅ。
今日の城(?)は、とても静かです。
それというのも、今日は騒ぎの元凶である幹部のみんなもボスも不在。
本部の会議とやらがあるらしい。
『………平和、だなー。』
自分の武器の手入れでもするかなー…。
実は自分の武器を持っているし、戦うことも出来るのあ。
法外な料金を取るので、マフィア達に狙われる。(逆恨み的な?)
なので、自分の身は自分で守れないと→死亡エンドかくてーい。前も言ったけどね。
それに…… 『武器職人が、自分の作った武器くらい使いこなせないでどうする!』というのが、黒猫こと、のあのポリシーであった。
使い手の気持ちも分からずに、武器は作れない。
フィーリング(武器合わせ)が、武器職人の中でも飛び抜けて上手いのはそのため。
※フィーリング-feeling…たいていの武器は不特定多数用に作られている。それを、使用する本人に合わせて作り直すこと。
(作者が勝手に作ってます。実際はフィーリングなんて言いません)
『にしても、ヒマだなー……』
たまには、風と遊んであげるか。
最近閉じ込めっぱなしだったしね。
白い炎をまとう、黒い風猫(gatto vento)、風(フゥ)。
見た目は本当に普通の黒猫。耳や尻尾の炎を除けば、ね。
黒の特注ツナギのポケットから、母の形見の匣とリングを取り出す。
猫と風をモチーフにした、シンプルなものである。
リングに風属性の炎をともすと、匣の中の風が動いた気がした。
どうせ「早く出してよのあーっ!」とでも言いたいんだろう。
『……開匣。風猫(ガット ヴェント)』
カチリ、ポン。
黒い毛皮に白い炎をまとった猫。
風参上!←
「わーいのあ、久しぶりー♪」
『用はないけど、まぁ、出してみた。』
「えー……。 のあ、抱っこー!」
ふわりと膝の上に飛び乗る風。
毛がふわふわで温かい。
優しく頭を撫でてやると、<ごろごろ>と喉を鳴らして、気持ち良さそうに目を細めている。
……たまには、構ってあげるのもいいかもね。
抱き上げて、ソファーの上に風ごと横になる。
『ちょっと寝る…』
「うん。おやすみのあー♪」
ゆらゆら揺れる白い炎をまとった尻尾を見ていると、途端に眠気が襲ってくる。
あ、そういえば最近寝てなかったなー。
どうりで、体が怠いわけだ。
『おやすみ、風……』
真っ白な毛に顔を埋めて呟くと、風がうれしそうに鳴いた気がした。
こうして二人でいると、昔を思い出すなー………