黒猫

□強風警報発令 前編
2ページ/3ページ



「……様!のあ様、起きてください!」



突然の叫び声と共に、体を激しく揺すられ目が覚めた。




この、ゆるいウェーブのかかった綺麗な茶髪の持ち主は……



『ノエ、ル?だよね?』



時々遊びに来たり、お菓子を持ってきてくれたりしているメイドさん。




「覚えていてくださったんですか!」




名前を言い当てられたことがうれしかったのか、張り詰めた空気が一瞬途切れた。




「って、そうじゃなくて!敵です!幹部様達がいない隙に、乗り込まれたんです!」

『……っ!?』

「…にゃ?どしたののあー」





ひっついてくる風を無視し、立ち上がる。


ノエルの話によると、現状はとても危険な状態で、隊員達が応戦しているけど、敵も相当の強者。

戦力がどんどん削られているらしい。







「逃げてくださいのあ様!もう敵はそこまで…「ぎゃああっ!」




ノエルの声は、野太い叫び声によって遮られた。

どうやら、ヴァリアーの隊員がやられたようだ。





「緊急事態なんですっ!のあ様だけでも逃げてください!」

『そ… そんな事、出来るわけないよ!』




叫び声は今も続いている。


敵は、意外と近くまで入り込んできているようだ。




『ノエルは、銃使える?ボクも戦うよ!』




その辺にあった銃を拾い上げる。



「い、一応、自分の身を守る、くらいなら…。でものあ様は『大丈夫だよ』





ボクの身を案じてくれるのは、うれしい。

けど……。





『ボクだって、みんなの事は大切だから。守りたいよ』






自分の武器を手に、廊下へと足を運ぶ。









   
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ