黒猫
□強風警報発令 後編
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「――――――……のあ」
……こらのあ、聞いてるの?
『聞いてるってば。それもう何回目?』
ボクと母さんが家を飛び出し、母さんはフリーの殺し屋、ボクは小さいながらも武器職人として働いていた頃。
あの頃、母さんが何度も何度も話してくれたあるお伽話がある。
あの時は、母さんが何を言っているのか全く分からなかったけど。
今ならわかるんだ。
この話の意味が――――………
……あるところに、動物達の小さな村がありました。
そこの住人たちは、犬猫兎、ネズミや狐など色々な動物達でした。
彼等の毛は、みーんな黒色。
みんながみんな黒いものですから、みんなはそれが当たり前だと信じていました。
ところがある日、異変が起きました。
村のはずれの小さな猫の家、そこに子猫が生まれました。
村人たちはこぞってお祝いに出かけました。………が、しかし。
村人たちは驚きました。
そこにいたのは、六匹の小さな白猫。
…………そう、いわゆる「突然変異」というものが起きたのです。
白い毛に赤い目。
彼らは、「アルビノ」と呼ばれるものでした。
村人たちも最初は普通に接していましたが、その白猫たちが成長しだしたある日。
一匹の狐がこう言ったのです。
「何故私たちの毛は、こんなに汚らしい色なのか。」
彼らの視線の先には「アルビノ」の白い毛を持ち、美しい赤い目を輝かせる猫たち。
自分たちは、何処を見ても黒、黒、黒。
彼らは次第に、自分たちには到底手が届かない、美しい「アルビノ」の血を羨むようになりました。
そして、事件は起きたのです。