黒猫
□強風警報解除
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屋敷が襲われ、敵を撃退した後。
ボクは倒れてしまったらしい。
目が覚めたら、あたりは清潔感のある白に囲まれていた。
ボクが目を覚ましたことに気づいた看護婦さんは、走って誰かを呼びに行ってしまった。
…その前に点滴を外してくれないかな?
慣れないものをつけると痛いんだ。
……あー、頭が、痛い。
いや、病気とかじゃなくて。
精神的っていうかなんていうか……
このモヤモヤは、何なんだ?
「「「のあっ!!」」」
バタン!!!
と大きな音を立てて開け放たれたドアの先には、みんなの姿が。
みんな心配そうな顔してるや。あの無表情なフランでさえ、ちょっとだけ。
ボクが普通に体を起こしてるのを見て安心したのか、ほっとため息をついて近寄ってくる。
「王子マジ心配したんだけど。無茶すんなし」
「心臓止まるかと思いましたー」
「体に別状はねえかぁ?」
『にゃは、大丈夫だって』
「…このカスが」
こつんっ
『み゛っ!』
でこをどつかれた。
でも、心配してくれてるのか何なのか、その力は抑え気味。
もー、こっそりやさしいんだからボスめ。
(ちょっとー、ボスがのあに甘いんですけどー)
(これは怪しいぞぉ…)
(チッ… 早めに手をうたねーと)
「もー、びっくりさせないでよのあちゃん!」
「ぬぅ、問題はなさそうだな」
少し遅れて入ってきたリア姉とレヴィ。
リア姉いわく、みんなが帰ってきたときにボクは。
血まみれで、廊下に倒れていたそうで。
もちろんそれは返り血なんだけど、そのときのみんなはボクが隊員たちの盾になって死んだと思ったらしい。
風がボクは大丈夫だって教えてなかったら、隊員メイドは死んでたかもだって。
ボスがコォォってして、「隊員が武器職人に守られるたぁ、なんてザマだ」なんて。
相変わらずというか…。
てかみんなを殺したら、ボクが体張った意味なくね?みたいな。
…なんか、みんなの笑顔を見たら、ちょっと落ち着いた。
モヤモヤなんて、どっかいっちゃったよ。
一緒に笑うと、もっと楽しくなる。
やっぱり、よかった。
ボクがヴァリアーに入ったのは、間違いじゃなかった。