黒猫
□けもみみ★ぱにっく 前編
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はーい、こちら現場ののあでーす。
…うん。 ふざけすぎました。テンション高いです。
久々の黒猫コスチュームです!
ベルとフランは「顔が見えない」から嫌いらしいけど。
そんなの知ったこっちゃないよ、まったく。
『もしもーし、ボクだよー。聞こえますかー?』
「聞こえんぜ?」
「聞こえまーす」
初任務なのになぜかボクが指揮を執るという。ナゾだ。
(あたりまえだろぉ!ベルに任せたらフランは聞かねーし、逆もしかりだぁ!)
『一分後にベルとフランは敵を引き付け始めて。ボクはこっそり入って重要なとこ壊したら合流する』
「むー… 了解でーす。早くしてくださいねー、待つの面倒なんでー」
「うしし、そのまま殺られろカエル」
『こらこら。ケンカしないでよー』
ベルとフランは、建物を挟んで反対側にいる。
敵をひきつけておいてもらって、後から合流したいと思います。
騒ぎを起こしておいて本人たちは逃げるという…。
卑劣極まりないww←
「んじゃ、そろそろ行くぜのあ」
「また会えるといいですねー」
『いやボク死なないからね』
なんと物騒な。
実験器具や書類などその他もろもろと中枢機関を使い物にならなくするのがボクの役割。
すばやく忍び込み、迅速な作業をすることが必要になる。
ヴァリアー一のスピードを誇るボクが一番適任。(にゃはは、すごいだろー)
まぁ、本音の一つとしては。
あまり人の血を見なくてすむ、っていうのもある。
血にまみれたら、本能がうずいちゃうから。
とかなんとか考えてるうちに、建物の反対側からは炎が上がり、人々の騒ぎ声が聞こえる。
建物の中の人の気配も、そっちに移動していくのが分かる。
『よしゃ、のあ、いっきまーす』
扉を静かに破壊し、侵入。
建物の大体の形状は、資料から頭に入れておいた。
研究室は… こっちだね。
迷うことなく走り出す。
ベル、フランGJ。
敵が全然いないよー。
……大丈夫か、アニ・ウォタズファミリーさんとやら。
全員で行っちゃうとかさー。
マフィアとしてあんまりよろしくない。
はい、研究室とーちゃく。34秒。
でもボク体力はないから、早く終わらせないと、でっど・えーんど。
重要そうな機械たちに銃を放つ。
派手にぶっ壊したりはしないけど、起動不能になればよし。
書類は…… 盗ってく?
「いらにゃーい。燃やしちゃえ!」
『いや、ボクまで焼け死ぬて』
風… キミ、自分の炎の威力くらい知りなさい。
ホント凶悪だから。
『てきとーにざっくりやっとくかー』
折りたたみ式大鎌を取り出し、片っ端から切り裂いていく。
風もびりびりと破っている。
あ、この猫さっきからいたから。
走り始めたあたりですでに肩の上に。
無線機を取り出し、他の二人と繋ぐ。
『のあだよー。いちおう終わった。これから壊しながら外行くねー』
「うしし、了解」
「南で待ってまーす」
ッチ、南かよ。こっから一番遠いよ。
ランニング程度(でも常人の全力疾走より速い)に走りながら、銃をぶっ放しつつ進む。
ちなみに風も銃を使う。
器用に、口と尻尾で。
猫が銃使ってるよ。へんな絵。
てかさー、ほんとーに敵に会わないんだけど。
みんな殺られちゃったの?
『お、ベルフラン発見ー』
「わーい」
『この棒読みガエルめ』
ここは敵がわさわさしてる。
片っ端からベルのナイフの餌食に……。
なるべく血を見ないようにフランを見ると、座り込んでるし。
ほんとに何にもしないんだね。
『ベルー、全員殺らなくていいから、もう帰ろ。つかれた』
「のあ、全然戦わなかったにゃー」
『別にいいじゃん。ダルイ』
とか言いながらも、こっちに銃を向けている奴に発砲。
顔をそちらに向けないように。
ぬるいなー、ここの連中。
コート汚れなかったよ。
「ためらいなくやりますねのあー。片手なのによく命中しますー」
『ったりまえ。黒猫だもん』
「…それ、某堕王子を思い出すんでやめてくださーい」
「黙れカエル。お前もちったぁやれっての」
『はいケンカ始まる前に離脱するよー』
あーもー。
やっぱりめんどくなりそうだし。
帰ろー早く。
敵も結構近づいてきてるんだから。
「…よし、アレを試そう!」
「しかし、アレは試作品なんじゃ…」
「かまわない!殺されるくらいなら…!」
「はい!」
敵の会話が耳に入ってきた。
なんかやるつもりだ。 やべっ。
『早く逃げるよ…って、コラ!』
「痛いです、堕王子ー!」
「てめー、地獄に落ちろ!てか落とす!」
後ろを振り返ると、すでにケンカ発生中。
あ、ちょっと!
白衣着た敵がなんか取り出した!
薬品同士を混ぜてこっちに投げ『うわぁ!ちょ、逃げ、』
ガシャァンッ!!
…手遅れ。
ビンが割れてこぼれた薬品は、蒸発して紫色の煙りに変わる。
「げほっ… 何だし!」
『薬品!吸うなバカ!』
「ミーたち死にますー?」
「やだよのあー、僕匣に戻るー!」
『えぇい早くせいバカ共!』
風をしまってダッシュ。
全力で。
「ちょ、のあ早ぇって!」
「待ってくださーい!」
無線機に響く声。
知らない!
死にたくなかったらついて来い!
待機させていた車に、なだれ込むように乗った。
『けほっ… 異常ない?』
「ミーは何もー」
「オレも…平気 のあは?」
『今のところは。運転手さん、車出してください』
エンジン音の後、発進。
心地良い揺れに身を任せ、瞳を閉じた。
なんか、余計疲れた気がするな。この二人のせいで。