黒猫

□cat meets vongola!
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「ボンゴレとの交流会がある」


「「「「『……は!?』」」」」


「出発は明日だ。用意しとけカスども」






朝っぱらから緊急召集がかかったと思えば、いきなりボスからこの発言。


寝ぼけ眼で話を聞いていたベルやフランも驚愕に目を見開いていた、気がする。

ベルは目見えないし、フランは表情変わらないし。



ちなみに、現在ボスはものすごく不機嫌だと思われる。

さっき物を手当たり次第スクアーロに投げてたから。





「うわダリー。まーたガキんちょのお守りかよ」

『…へ?ボンゴレ?交流会?なにそれ?』

「今説明してやるから落ち着けのあ」

「おぉ、珍しく挙動不審ですねー」

「その時にのあ、お前を雲の守護者として正式に発表する。覚えとけカス」

『………ふゃぁう?』


「「「……何語?」」」






言いたいことだけ言って出ていく、我が儘気質の我らがボス。




………あ゙ぁ? (スクアーロじゃないよ)


ボンゴレ本部って、ボンゴレのボスとか?

ついでにボンゴレの守護者達とか?

ボクその人達と会うの?


んで、発表!?




……………=色々な人達と接する。






いやいやいや。


ボク人見知りですけど?

あわよくば誰とも関わらずに生きていけたらいいなー、とかつい最近まで思ってましたけど?

ヴァリアーのみんなとは、関われてよかったと思ってるけど……










『………うへやぁい』


「「「だから何語!?」」」




『え、ちょ、待った。ボンゴレ本部?行きたくない行かない断固拒否やだー!!』

「は!? 何、どしたのあ!?」

「いきなりそんな拒否ですかー?」

「オレ達だって本当は(連れて)行きたくねえぞぉ」





(……ん?なんで(連れて)、なんですかー?)

(アイツらにのあを会わせたくねぇ)

(……王子も同感)



((でも拒否出来ないのが現実))








出来るのならとっくにそうしてる。

それが出来ないから、クソボスだっていらついてたんだろうし(いい迷惑だぁ)。







「あら、でも悪いことばかりじゃないのよぉ?」

「は?何言ってんですかクジャクオカマ」

「んもう、口悪いわよフランちゃん!交流会といえばパーティー。パーティーと言えば……?」


「「「………ドレス?」」」


『…………うげ』






その単語を聞いた途端、のあは表情を変える。

目をきゅるりとつりあげて猫目に変形し、眉は形のよい逆ハの字。

唇の端はひくひくと痙攣(?)する。


……見るからに嫌そう。





女の子らしい服装を極度に嫌うのあ。

普段は男女どっちでもいけるコートまたはジャージで過ごしている。

しかも絶対に「黒」。に、たまーにちょくちょく白のアクセントが入っているくらい。


スカートどころか、色がついている服を着ていた事すらない。



そんなのあに、ドレスを着せることが出来る?

化粧とかアクセサリーとか、好きなように飾れるってわけ?




その場にいる奴らの目が、キラリーン!と光った気がした。







「「「「なにその素晴らしいイベント」」」」


『なにそのおぞましすぎるイベント』







明らかなる「拒否」の意向を全身で主張するのあ。


後ずさりしながら顔の前で両手をぶんぶん振り、ついでにポニーテールも振り回す。

……当たったら痛そう。








「さぁて、そうと決まったら採寸するわよ!」

『決まってないからね』

「うしし、何色のドレス着せる?」

「ピンクですかねー」

「白のふわふわしたやつだろぉ」

「黒の際どいドレスだ」


「「「ボス帰ってきた!」」」







いつの間にかこの楽しそうな話を聞き付けたのか、ボスがやってきた。

ドレス、それぞれの趣味がでてるな…


どんどん話がまとまっていくのに恐怖を感じたのか、慌てて話に口を挟むのあ。






『却下。ドレス着ない。礼服』

「礼服は男物だぞぉ」

『問題ないよ。ボクコート着るし。スーツにコート、これがボクの正装だよ。コスチュームなんだよ』


「「「「重症だ……」」」」


「馬鹿ですかー。会場内でコートなんて馬鹿ですかー」






二回言ったぞフラン。

大切な事だから二回言いましたってかぁ?



けっ、とでもいいそうなやさぐれた表情で吐き捨てる。

自分がどれだけ可愛いのか知らないから、こんな態度をとるんだ。


その辺の分厚い化粧してごまかした女よりよっぽど整った顔立ちなんだがなぁ……







「「「「お待ちくださいっ!」」」」


『っえ!?』






後ろからの声に振り返れば、そこにはたくさんのメイドたちが。

目をキラキラと輝かせ、のあに視線を注いでいる。


その笑顔は、世間の汚れなどを知らないような無邪気な顔。




幹部達も、一瞬遅れて閃いた表情。

そのにんまりとした笑顔の真意は、(のあはメイドにだったら手を出さない)ということを理解した顔。


のあの顔はそれに反比例してひきつりを増していく。






「ドレス着せるんですよね!」

「私たちに任せてください!」

「いえむしろやらせてください!」

「さぁのあ様行きましょう!」

『え、ぅや、ちょ、』

「確かに、のあならメイドたちには手出しませしんねー」

「オレは出すけどな。ししっ」


『わぁ、カノン!力強っ!』

「ふふ、私のとりえですから」






メイドの一人、カノン(27歳、167cm)にひょいと担ぎあげられ、拉致連行。

そんな小さい身体で暴れたって、痛くも痒くもない。

拒否権などのあには存在しない。






『にゃ―――――っ!離してよ――――っ!!』






ヴァリアーのアジトには、のあの悲痛な叫び声が響くだけだった。









 
 
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