黒猫

□cat meets vongola!
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「うわー、こんなにいいスタイルしてるのにもったいない!」

「なんでもっとかわいらしい服を着ないんですか?」

『ひゃ、くすぐったいってば』

「ふふふ、脇腹弱いんですか?」

「まぁ可愛い!」

『わ、ちょっと、』





とある一室の前。

薄い扉一枚の向こうから聞こえる声は、メイドたちとのあのもの。


きゃいきゃいと楽しそうに会話するメイドと、疲れた声で嫌々応対するのあだ。




この向こうには、男子禁制の秘密の花園が広がっている。

そんなオイシイ状況を黙って見ていられるようなヴァリアー幹部達ではなかった。





「ちょっとー、邪魔ですよロン毛隊長ー」

「るせーって静かにしろ」

「そうだ、聞こえなくなるだろ」

「こら、レヴィは聞き耳たてちゃだめ!」


ゴスッ


「オフゥッ!」

「しし、きんもー」

「こんなところで吐くんじゃねぇ!」

「うるせーぞカス」





壁にへばり付くヴァリアーのトップたち。

必死になって中の様子を知ろうとする姿からは、全くその威厳が感じられない。





『ひゃう!だから、くすぐった、』

「あらごめんなさい手が滑ったわ!」

「もう、そそっかしいわねリウラ」

『っう! そういうノエルもくすぐったいよ!』

「あーん、可愛いのあ様!」

『抱き着くなー!もー、やることさっさとやってよ!』


「「「はーい!」」」






「………人形にされてるわね」

「………されてるなぁ」





まぁ、オレらはそれでも見てるだけだが。


助ける必要など全くない。

のあはヴァリアーの幹部なのだから、逃げようと思えばいつだって逃げられるのだ。


それなのに、逃げたり抵抗したりしないんだから…





「優しいわよねあの子…」

「お人よしだろぉ」

「だからおもちゃにされてるんだけどな」

「ていうかー、ドレスのデザインは結局どんなのにしたんですー?」

「明日までのお・た・の・し・み!ンフ」


「「「「キモッ」」」」


「何よ!声を揃える事ないじゃない!」





んもう、失礼しちゃうわ!とか一人で呟いているオカマを華麗にスルー。


今は中の様子を知るほうがずっと大切な事なのだ、と。

本能的に理解している幹部達は、再び扉に耳をくっつけようとして。





カチャ、ドササッ!





『…………え、何してんのキミ達』

「………ゔお゙ぉい、いきなり開けんじゃねぇ」

「いってー、王子が転ぶとか……」

「不意打ちは卑怯ですよのあー」


『ごめん、何の事か全く分からない』






採寸を終えたのあは、中から扉を開けた。

それはいたって普通の事なのだが、あいにくその扉にはスクアーロ達が寄り掛かっていた。


いきなり扉を開けられた奴らは、そろって倒れ込んだと。

それが今の状況である。


なんだこのお約束。





『おーい、生きてる?』

「…まぁなぁ゙」

「なぁ、採寸結果見してよ。うししっ」

「ミーもー」

「えー、のあ様の許可がないとー…」

『許可せんぞ』





あののあでも、スリーサイズは気にするんだなぁ。

いや、むしろ気にしてんのは身長とか足の長さとかか?


そんな気にするほどの事でもねぇのに。

身長は小さくたってかわいいし、足だってすらりと長い。


日本人にしちゃ出るとこ出てるし、いいスタイルしてると思うぞぉ。




メイド達はのあのスリーサイズその他色々を持って、走って行ってしまう。

後数時間でドレスを作らなくちゃいけないからな… お疲れ様だぁ。







『…で、日本に行くんだよね。用意するものとかあるの?』

「特にはねぇぜ?たいていのものは向こうにあるし」

「一泊二日だから、着替えくらいかぁ?」

「手ぶらでも何とかなりますよー」

『へー……』





じゃあ替えの服だけでいいか。

そう呟いて自分の部屋(らしき方向)に向かっていくのあ。



メイドたちにいじられて若干フラフラしてたので、ちょっと不安。

まぁ、オレも着替えの用意くらいはしておくかぁ。




いったんそれぞれの部屋に散る。









 
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