黒猫

□cat meets vongola! 番外編?
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『ただいまー!』

「「「「のあ(ちゃん)!?」」」」



ドレスの裾を翻し、みんなの元へと駆け寄る。

無表情は相変わらずだけど、声のトーンは元気。


だってこれでボクがしょげたりしてたら、元気付けてくれたみんなに申し訳なくなるし。

実際、みんなのおかげで大分救われた。

気が軽くなったもん。



「はいのあー、キープ成功ですよー」

『おぉ、チョコレートチーズケーキっ!?こんなのあったんだね!』



フランからそっと差し出されたお皿とフォークを受け取る。

一口分を丁寧に切って口に入れると、深いビターチョコレートの味とチーズの風味がふんわりと広がっていく。


ほっぺたが落ちるとはまさにこの事だね!

美味しーっ! この味はボクの趣味に合致してるよ!

フォークがとまらない!





「のあちゃん、アレ空元気よね…」

「……無理してんじゃねえ、カスが」

「アイツがそうしたいなら仕方ねえかぁ」

「今は見守るしかないんじゃね?状況が状況だし」



美味しそうにケーキを頬張るボクを不安げに見つめてくるみんな。

……やっぱり、不自然だよね。

でもしょうがない、今はこうすることしか出来ないんだ。


そのうち、時が来たらみんなにも話すから……

待っててくれるかな?

ボクの気持ちの整理がつくまで……





「あ、お帰りのあちゃん」

『あ、ふぉんほれほふ(ボンゴレボス)』

「……口のなかにものを入れたまま喋るなぁ」

「いつもの事ですけどねー」

「あはは。ホント可愛いね」

『げほっ!?』



ボンゴレボス今サラっと何言いました!?

ちょ、濃厚なケーキが喉に詰まる!



「クスクス、ごめんねのあちゃん。実はうちのメカニックを紹介しようと思って」

「初めまして黒猫さん、お噂はかねがね。私、ボンゴレ御用達武器チューナーのジャンニーニと申します」

『はぁ、どうも』



ちっさいおじさんに握手を求められたので答える。

へー、こんな人が武器職人なんだ。

スーツ着てるし、イメージ違う…… あ、パーティー会場だからか。



「あの黒猫さんがこんなにかわいらしいお嬢さんだなんて……」

「へー、のあそんな有名なんですかー」

『まぁね』

「あとは、元ミルフィオーレの……」



ボンゴレボスがもう一人誰かを紹介してくれるようだ。



この時、ボクは予想していなかった。

あんなにも、気の合う人物と出会えるだなんてこと……





「よろしく」



そういって紙を差し出してくる一部クルンとした金髪の男。

その紙には「酢花゚」という文字。



『す、はな?』

「パ。スパナ」

『あぁ、この丸か』

「あー、オレなんか既視感」

「あ、ボンゴレともこのやり取りしたな」

『……こんなナゾナゾみたいな名前だからだと思うよ』



スパナさんか。

にしてもボンゴレは武器職人多いなー。

ボンゴレボスの話によると、入江正一っていう人もいるらしい。


……興味ないけどさ、そんな聞いた事ない名前。

(失礼だな君!)←入江





『………ん?』

「ししし、どしたのあ?」



今なんか一瞬、ふわりと甘いいちごの香りが……

なんとなく匂いの元をたどってみる。くんくんと。



「ゔお゙ぉい何してんだのあ!」

「ウチがどうかしたか?黒猫」

『ん、スパナ。キミさー……』



作業中に効率をあげるための一手段。

それは、糖分摂取。

ボクもしょっちゅうやるから分かる。



『もしかして、飴食べた?いちご味の』

「……そういえばさっき食べた、これ」



どうりで口から甘い匂いがするわけだ。


ポケットから出てきたのはスパナ型の飴。

すげー、どこで売ってんだろこんなの。



「ウチが自分で作ってる。機械いじるときには欠かせないから」

『やっぱ飴は必需品だよねー。ボクもよく買い置きしてるよ』

「分かってくれたのはアンタが初めて」

『ボクもだよ!なんで飴食いながらやってるのとかよく言われる』

「武器職人どうし気が合う」

『合うね』



ガシッ。


何となく手を組んでみた。

なんかすごく嬉しい、テンション上がる!仲間いると嬉しいよねこういうの!



みんなからの視線が痛いけど。

悪かったね、温度差があって。

ヴァリアーには武器職人いないから嬉しいんだよ!


仲良くなった記念にお互いが持っていた飴(スパナのスパナ型飴いちご味とボクの猫の頭型柑橘フルーツ味)を交換してみる。



 

 
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