そんな僕らの寮生活

□ぷろろーぐ
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そんな僕らの寮生活──プロローグ


「諍学園」

全国トップクラスの学力を誇るエスカレータ式の学園都市。

でも、学園の特徴はそこではない。

勿論、学園の規模は他の追随を許さず、学べないことはないとまで言われる程幅広い学習が可能。

しかし、学園が有名な一番の理由は一学年に一人は必ずと言って良いほど居る「規格外」である。

有り得ない身体能力や頭脳の持ち主が何故かこの学園に集まるのである。

学園はそんな規格外を基本的に一纏めにしないようにしている。

一人一人でさえ我が強くて人として何処かずれているため手に負えない人が多いんだから、その対応は当然である。

……の、だが。

一ヶ所、規格外の巣窟と化している場所がある。

それが僕、渡瀬葉月の住まう「和意寮」である。

和意寮は、学園の生徒によって営まれている学生寮である。

入寮者は、学園の総生徒の一パーセントにも満たない。

寮の規律は緩く、門限も特にはない。

その代わりに「自分のことは自分でする」や「自分の行動には相応の責任を持て」等と当たり前と言えば当たり前の事が規律としてあ
る。

総合的には、かなり緩い規律だ。

だが、それでも入寮者が少ないのは、やっぱり相応の理由がある。

それを語る前に、入寮者の事を軽く話しておこう。


まずは、僕。

普通の高校一年生。

高校から諍学園に入学したので、まだまだ慣れていない部分も多い。


次に、神無月夜空。

同じく高校一年生。

規格外とまではいかないが、普通を少し逸脱した身体能力で部活の助っ人をしている《請負人》。


水無月悲室。

高校一年生で図書委員。

和意寮の書庫の管理を任されている本の虫。


アイリス・オーエン。

どこ出身かは知らないけど外人さん。

一年生。

科学部らしくて、常に白衣着てる。

本人曰く「これは普段着用。」


レイン・ボルファース。

アイリスの幼馴染み、らしい。

とてもいい人で寮の掃除やらを手伝っている。

僕には真似できない。


秋風軽祢。

一年生で二人しかいない女子の規格外の内の一人。

風を読むことが出来て的中率百パーセントの天気予報ができる。

軽い性格で、約束を守らない時間も守らない。

悪い人ではないけど、色々とテキトーなので友達は少ないみたい。


美空木皐月。

新聞部の情報通。

自称「知らないコトは無い」。

寮生についてはほとんど知らない癖に。


一年生最後の寮生、結城鼎。

一年生で二人しかいない女子の規格外の内の
もう一人。

弓道部のエースでモデルガン集めが趣味らしい。

羅漢銭もできるとか貴方何者ですか。



和意寮には高校一年生と二年生以外いないので、必然的に後は二年生しかいないんだけど……二年生は皆ずれていて説明が難しい。

だから、矛盾してる部分もあるかもしれない。

矛盾してるのも含めてあの人達だ。


まずは寮長。

名前は神崎龍弥。

高校二年生で寮の経営をしている。

何故か規格外を束ねることができるとっておきの規格外。


次に、寮長の親友、睦月朔日。

規格外の一人。

有り得ない身体能力を持つ。

気さくな人で、誰にでも平等。

本当に高校生かと思うときがよくある。


小早川遊莉。

あまり話した事はない。

というより話しているところを見たことすら
ない。

けど、まぁ悪い人ではなさそう。


遠野悠。

持ち前のハイテンションとマシンガントークで皆を翻弄する女装好き。

パッと見女の子である。

声帯模写やピッキング、ハッキングにクラッキング、出来ないことの方が少ない規格外の一人。

身体能力もかなり高い……らしい。


唐草秋那。

男っぽい女の人。

一人称も俺なのでときたま男と誤認してしまう。

走りに関しては睦月先輩も越える規格外。


波揺水面。

剣道部所属の規格外。

女性の身でありながら、壁を走ったり砕いたり……。

寮長の補佐をしているらしい。

補佐と言ってもあまりやることはないみたいだけど。

寮長は大体の仕事は一人で片付けてしまうのだ。


比良境葵。

あまり話した事はない。

のでよく知らない。

お金持ちのお嬢様故に色々とある模様。


如月更衣。

睦月先輩か寮長といつも一緒にいる。

色々と事情があるみたいで何処か怖い。




計十六人でその内の七人が規格外である。

彼らは悪い人達ではない、寧ろいい人達だ。

でも、感性の違いかどうかは知らないけど人と何処かずれている。

そんな人達と一緒に生活する。

それに慣れるまでに大抵の人は出ていってしまう。

まぁ、僕も出ていきたくなったことは何度かある。

それでも、和意寮の自由さは居心地が良かった。

僕は元々規律の緩さで選んだしね。

と、まぁこんな感じで、寮生は少ない。

だから色々と余裕があったりする。



これは、僕らの和意寮での、僅かに異常な日常。
 

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