innocent starter
□Act.2-1
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「すっごーいっ!!」
少女とフェレットのシュールなやり取りが終わったと思ったら、今の今まで固まっていた少年、瑞希が大声を出した。
何事だ、と少女とフェレットは先ほどのやり取りをも忘れ、視線を少年へと向ける。
「ねぇっ、ねぇっ! 見た? 今、見た?」
いささか興奮気味の瑞希に、なのはは曖昧にしか返事ができない。フェレットにいたっては呆気にとられている。
「なんか出たよ! ビームみたいなヤツ!」
キラキラと輝く目は間違いなく、ヒーローに憧れる少年の目だった。
「ま、槙原くん……?」
おずおずと呼んだなのはは、あれ、こんな子だっけ? と疑問を抱かずにはいられない。
「高町さ……」
呼ばれ振り向いた瑞希は、数秒、行動を停止した。
「……?」
なのはは困惑した。自分の姿を見られ、停止されたのだ。無理もない。え、何かしたっけ、私? 呼んだだけだよね? 思わず自問自答したのは彼女だけが知る出来事だ。
「何それ、かわいーっ! 高町さん、変身してる!」
キャッキャッと騒ぐ瑞希。
「え、そ、そうかな?」
えへへと照れるなのはは、異性に可愛いと誉められた女の子そのもの。
「槙原くんも、その、か、カッコイイよ」
「へ?」
どうやら瑞希は自分の衣服が変わっていることに気が付いていなかったらしく、なのはに指摘され、初めて自分の格好を確認した。
「うわぁ、僕も変身してる! すっごーい!!」
キャッキャッワイワイ。キラキラワクワク。
年相応の少年少女がそこにいた。