innocent starter
□Act.2-2
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首を傾げるなのはに瑞希は苦笑を浮かべた。説明が足らないか。彼は反省しつつ、口を開く――――かと思いきや、くるりと辺りを見まわし、なのはの手を引いて歩き出した。
「ま、槙原くんっ!?」
突然、異性に手をつながれたことに多少なりとも羞恥があるのか、僅かに頬を赤く染めたなのはが困惑の声をあげた。しかし、対する瑞希はさして気にする様子もなく、いいからいいからと構わず歩き続ける。
「魔法の話をするからさ、ちょっと移動したんだけど――って聞いてる?」
他の生徒から死角になる様な場所に移動し、口を開いた瑞希。しかし、瑞希と向かい合う様に立っているなのはは俯いていて、今までつながれていた手を押さえていた。気のせいか、彼女の顔は先ほどよりも赤い。
「高町さん?」
どうしたのと声をかければ、彼女はボソボソと喋り出した。
「……ちょっと、恥ずかしかったって言うか、その、あんまり男の子と手をつないだことがなくて、緊張したって言うか。ほら、周りも見てたし……」
モジモジとするなのは。まだ数回しか会っていないのだが、彼女のいつもと違った態度に瑞希は困惑し、とりあえず一言。
「……ごめん」
謝った。
謝った方がいいのかな? 程度の気持ちで発した言葉だったため瑞希の表情はキョトンとしているが、疑問符を付けなかっただけ称賛もの。彼はまだ異性などには無頓着なようで、彼の様子は普段と変わらない。やはり、女の子な分、なのはの方がその辺りは幾分か進んでいるようだった。
「だ、大丈夫。別に嫌だった訳じゃないから……」
自分で言ってて恥ずかしくなったのだろう。なのはの台詞は語尾に近付くにつれ、小さくなっていく。瑞希は察した。
――ダメだ。この話、早く止めないと。
妙な所で鋭さを見せた瑞希。恐らくこのままこの話を続ければ、日が傾くまでここにいることができるんじゃないだろうか。いや、できる自信がある。確信はなかったのだが、瑞希はこの出来事をそう捉えた。
「ッ!?」
突然、なのはが俯かせていた顔を勢い良く上げる。何事だと面食らった瑞希だったが、なのはが当たりをキョロキョロし始めたことにより、その行動の意味を理解。初めての念話で混乱しているのか。アドバイスでもしようかなと瑞希は動くが、何やらユーノが上手くやっているらしく、大丈夫そうだったので何もせずに事を見守っていた。