Short Short
□ウワサ好きなあの子
2ページ/2ページ
「えー、ではお近づきの印と言ってはなんですが耳寄りな情報を一つ」
コホンとわざとらしい咳払いを挟み、シャリオは耳打ちをしようと手を口許によせ、ヴェルベットに顔を近づける。
それに対し、ヴェルベットはなんだなんだと耳を傾けた。
心なしか神妙な顔つきのシャリオは静かに告げる。
「――某戦技官さんと某執務官さん。実はデキてるらしいですよ」
「聞きたくなかった!」
「ウソです」
「笑えないっ!」
自らが腰をおろしていた椅子を倒す勢いで立ち上がったヴェルベットは必死に訴えた。
「やだなぁ。あの二人に限ってそれはないですよー」
「あの二人だからこそあるんだろうに」
ひくついた頬は必死に彼の精一杯の笑顔。見事なくらいの苦笑だった。
「――フォワードの二人じゃあるまいし」
「また否定し難いことをっ!」
「私はウソであってほしいなーって思ってます」
「俺も思ってるよ!」
個人名を出された訳じゃないのに簡単に特定できてしまうのは、心当りがあるから。火の無い所には煙はたたないのだ。
「あ、じゃあこの間語ってもらったんですけど、恋愛観についてのお話なんてどうです?」
「……誰の恋愛観?」
「ヴァイス陸曹です」
「あ、それは面白そう」
ヴェルベットは椅子を直し、再び腰をおろしてシャリオと向き合う。
「なんか、こう、凄いキリッとした表情で語りだしてくれました」
「まずそこで笑える」
「ですよねー。堪えるの大変でした。あ、それでですね――」
カラカラと笑うシャリオとヴェルベットがこの日を境に仲良くなり始めたのは、もはや言うまでもないだろう。
end
(ヴェルくんとシャーリーのほぼファーストコンタクトのお話)
[以下設定]
[名前]
ヴェルベット・リオセンテ
[階級]
空曹長
[デバイス]
インテレッセ・ローズ
[備考]
若干気遣いさん