ザンスク

□傍に居ればいい
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「ぬおっ!?貴様何をする!!」
「しししっ、だって残してたじゃん」
「朝からうるさいよ、僕に報酬を払うつもりで騒いでるのかい?」
「こらッ!ちょっとやめなさいレヴィ!ベル!」


ボンゴレの暗殺部隊ヴァリアーは、今日も朝食の時間から元気だ。ある2人を除いては−−−。


「あら、ボス?もういいの?おかわりは?」
「いや、いい」

そう言って立ち上がると、ザンザスは無言で広い食事部屋から出ていった。

それを黙って見つめていたスクアーロ。
顔にはどこか悲しげな雰囲気が漂っている。

「最近のボス、やけに静かねぇ」
「やはりこのレヴィが支えにならねばいけないのだな」
「しししっ、それ逆効果」
「ぬっ……」

皆が賑やかに話をしている間も、スクアーロは無言のまま朝食のパンを食べ続ける。
そんなスクアーロの様子に気付いたルッスーリアが、声をかけた。

「スクアーロ?最近あなたも様子がおかしいわよ?」
「ゔ、ぉ゙……」
「何かあったの?」
「べ、別に何も無いぜぇ…」
「ならいいんだけど」

スクアーロが、何も無くてこんな状態になるわけがない。

ちゃんと理由がある。




ここ最近、だいたい1週間前ぐらいから、ザンザスのスクアーロに対する態度が変わったのだ。

今までなら、暇なときはいつもどちらかの部屋で一緒に過ごしていた。

それなのに、最近では、スクアーロがザンザスの部屋に行くと「出ていけ」と言われ、またザンザスがスクアーロの部屋に来ることもなくなった。


あぁ−−−とうとう俺嫌われちったのかなぁ………。


頭の中では「お前はもういらねぇ」と冷たく言い放つザンザスの幻影ばかりが浮かび、スクアーロは一人自室で涙を流すしかなかった。




そして、そんな日が続き、今日もザンザスは一言も口を利かないまま食事部屋を出ていってしまったのだ。

スクアーロにとったら、これは“拒絶”されているのだと、そう考えるほかない。


「……ク………スク…………」


名前を呼ばれても、右から左だった。


「……クアーロ!スクアーロ!!」
「ゔお゙ぉっ…」

やっと我に返ったときには暗殺部隊全員の顔がスクアーロに注目されていて、一瞬たじろいだ本人は、手に持っていたサラダ用フォークを床に落としてしまった。

「やっぱりおかしいわよ、スクアーロ」
「なんか失恋した女子高生みたいじゃねぇ?」

まさに失恋に近い状態にあるスクアーロは、思わず「ゔお゙ぉぉっ」と言いそうになったのをなんとか堪えた。

「確かに…たまには的確な事も言えるじゃないか」
「しししっ、だって俺王子だもん♪」

だんだん皆と居るのが面倒になってきた為、床に落としたフォークをテーブルの上に戻すと、スクアーロは「ごちそうさまぁ…」と言って部屋を出ていった。



「しししっ、図星っぽいね、顔に思いっ切り出てたし」
「ボスと何かあったのかしら……明日誕生日なのに…」
「うわー、最悪の誕生日になりそー」
「喧嘩でもしたのかしら…?」

 
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