FINALFANTASYXI〜MEMORY OF TIME

□第八章
1ページ/3ページ





「夜空を舞う蒼き三日月
まばゆい世界は雲を越え
今奏でる旅立ちを
願いは彼方へ流れゆく

形の無い物語が
月明かりへ染み渡れば
君の中の宝物が
今 風に溶けてゆく

明日はありのままで羽ばたいてみよう
いつかどこかで君は欲しがったよね
聞こえるだろう ほら輝いていたあの日の夢

夜空を舞う蒼き三日月
まばゆい世界は雲を越え
今奏でる旅立ちを
願いは彼方へ
ああ この夢が果てるまで


砂に描いた明日への地図
風がそっと奪い去っても
空に浮かぶ道標が
きっと導いてくれる

悲しみならば何度乗り越えたんだろう
いつも君は傍で微笑んでいたよね
人は誰もまた失うほどに求めるけど

終わりのない夜を壊して
涙を明日へと繋げよう
心を映し出せたら
夜明けを探しに
ああ 強い風を抱きしめて

抗う鼓動がこの胸の奥
熱く燃やしても

くもりの無い 碧い瞳は
新しい世界に 夢を見て

夜空を舞う蒼き三日月
まばゆい世界は雲を越え
今奏でる旅立ちを
願いは彼方へ
ああ この夢が果てるまで
夜を壊して
涙を明日へと繋げよう
心を映し出せたら
夜明けを探しに
ああ 強い風を抱きしめて」


「この歌………『彼』を思い出すな………」


いや、しょっちゅう思い出してはいるが。


隣のアスレイは、今はすやすやと眠っている。
長旅で疲れが出たのだろう。あれから、サンドリア・ウィンダスを回り、ホラ・デム・メアの各地テレポイントで彼女を登録し(もちろんアスレイの事だ)驚いたことに彼女はテレポイントを一つしか登録していなかった。


ヴェインは、彼女の身体が間違いなく悲鳴を上げているのが分かっていた。
何故わかるかって………?

只の感だ、感。



――――――――見つけた………。

「………?」


幻聴、か?

にしてもリアルすぎるな。クリアにあの嫌味なガキの声が聞こえた。


――――――――見つけた……<異世界人>……。


「……そこに居るのか?」


答えは、ない。
代わりに、残響を伴う笑い声が帰って来た。
ふふふ、あはは、とあの嫌味を含んだあの笑い声。


―――――――――君、まさかアイツに情が移ったとか言う訳じゃないだろうね?
―――――――――……。バカを言うな。
―――――――――覚えといてよね。君は僕に見張られてるって事。


昔、自分がまだジュノに居た頃。
あのガキに聞かれた事があった。

――――――――君はアイツの事をまだ愛している?
――――――――そう、だな。
………女ってのは簡単にころころ変わるからな。


その時だった。
隣のアスレイがぼそぼそと寝言を言った。

「……私は………もう一度………死ぬ………」


――――――――………!?
今、なんて?
もう一度死ぬ?

「………聞こえるか………アルタナよ………」


この寝言で分かった。
この子、あの言葉。

「………もしかして………」




朝。
ちゅんちゅんと、鳥の囀りで目が覚める。

隣にいたヴェインはいない。
多分、獲物を捕りに行ったんだろう。


焚火をしていた場所に、一枚の古ぼけた写真が落ちていた。
返してやろうと思い、写真を拾い上げる

が。

要らぬ好奇心が湧いた。

写真に写っている人物を見ようと、身をかがめる。

こちらに向かって微笑む金髪碧眼の緑の服を着た尖り耳の男性。
それと同じ様な衣服に身を包んだ―――男性と同じように笑いかけている、銀髪碧眼の尖り耳の女性。

見た目は16歳前後、か?
女性は恐らく、若い頃のヴェインだろう。
後ろを見ると、


Link&Light

   to Zlda


「……何してる?」


びくっとして後ろを振り返ると――――――野鳥を手に木に寄りかかっているヴェインが居た。


「あ、ああ、そうだ、これ!」
「……?」
「お、落ちてたよ!」
「……。
ああ、君が拾ってくれていたのか。道理で……。
途中でなくしたらしくてね、大切なものなんだ」


鳥の羽だらけのヴェイン。
狩りの経験がないアスレイにもわかった。
鳥の首についた、無数の噛み跡。
狼か何かにやられたのだろう。


「写真、拾ってくれてありがとう。
待ってて。今作るから」
「作るって……何を?」
「……メシ」
「………え?
作れんの?」


ぎろり、と睨まれた。

「………必要に応じて覚えただけだ。
それとも、何だ?私みたいな………。
野郎もどきが作ったメシなんぞ食えないと?」


痛烈な皮肉の裏にある戸惑い。
ぎっと睨んでくる鋭い眼差しに隠された、深い哀しみ。

出会ったころとは全然違う。


(………やっぱり………)
「え?」
「………」
「い、今声、聞こえなかった?」

ヴェインは、無表情で首を振った。
だが一瞬嗤ったのをアスレイは気付いた。

「食べたくないなら食べなくていい」


そういうと、さっさと調理器具を片付け、用意しておいた簡易寝床(朝早かったのだろう)に入ってしまった。


「………何よ。最初から作る気ないじゃん」


呟き、自身も寝床に入る。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ