夜の闇と月の光
□輝ける闇と微かな光
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その日、オレは“夜”に出会った。
月のない闇夜。
深い森の奥で。
狂気の宴。
辺りに響く、重い打擲音。
くぐもったうめき声に、
狂った嘲笑。
「、この化け狐がっ!」
「てめぇが生きてて、なんでオレの弟が死ななきゃなんねぇんだ!!」
「しょせん、三代目の温情で生かされてるだけの化物がっっ」
罵りながら、蹴りつける。
「、っうぐ、ッウウ」
ガツッ
「っ生きてるだけで迷惑なんだよ!!」
失敗した。
厚い雲に覆われて気づかなかったが、今夜は満月だ。
満月の夜は九尾の力が強まる。
おかげで自分はそれを抑えることに、気力のほとんどを持っていかれる。
オマケに今日は体調もあまりよくなかった。
だからこそ深夜、襲撃を受けることを避け、森に避難してきたのだ。
が、裏目に出た。
いつもなら森に入って気配を消せば、自分は誰にも見つからない。
それこそ上忍に探られても隠れおおせる自信がある。
そもそも追ってくる気配に気づかないはずがない。
しかし今日は調子が悪かった。
そしていつもなら忘れるはずがない月齢を忘れた。
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