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□秋
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朝晩が肌寒くなった

木々は赤やオレンジなど色を付け始め

なぜか寂しい気分になる


暑いのも寒いのもダメな俺は秋が好きじゃ

だが寂しい


こう、心臓にぽっかり穴があいたような…

センチメンタルな今日この頃




靴を履き部室へ向かう

学校の木もきれいに色づいておる



『はっくしゅん!』

ゴン!

盛大な声とともに聞こえてきた鈍い音


俺は音がした方に目をやる


小柄な女の子が頭を抱えてうずくまっていた



「おー、大丈夫か?」


すこし心配になったので声をかけてみた
女の子は額に手をあてて痛みをこらえていた


『あたま割れました……』


屈んで手をどけてみる

ちょっと赤くなってるが割れていない


「そんな簡単に割れん」


『パカっと割れた気がしました』


「よしよし」

頭をなでてやる


『大きな手ですね』


「男じゃから」


よく見れば普通な顔
じゃが、なんかかわいい

雰囲気かのぅ?



『私、行かなきゃ…』

「部活か?」

『はい、美術部です』


「そか、がんばりんしゃい」

『はい』

「じゃあな」



『あの、』

「なんじゃ?」


『ありがとございました』

「あぁ」

『あと、好きです』




ドキッ

心臓が跳ねた

え………俺が?



『手が』





手かよ……

ちょっとドキっとした俺は……

キャラじゃないのう




前をむくと女の子はいなくなっとった


ぽっかり開いた穴はちょっと塞がった気がした




    【秋】


(名前くらい聞けばよかったのぅ…)








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