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□ここだけの2人
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『アサダヨ ツナヨシ オキロー オキロー!』

甲高い声にビクリとなってオレは目を閉じたままベッド脇のチェストに置いた目覚まし時計を手探りで探す。
やっと見つけて引き寄せた黄色い鳥の形をした目覚まし時計。

『アサダヨ ツナ・・・・』

ストップボタンを押して目覚ましを解除する。
20歳にもなって子供っぽすぎるんだけど大事な子から誕生日に貰った大切な目覚まし時計。
時計をチェストの上に戻すと、起き上って伸びをする。
今の時刻は6時15分。
毎朝の日課をこなす為、ベッドを下りた。

着替えて洗顔、歯磨き、洗濯機を回したら朝食作り。
今朝のメニューは・・・焼き鮭、納豆、昨日の残りのカボチャの煮物、きゅうりの甘酢漬け、そして豆腐とわかめの味噌汁。
ご飯は昨日の夜にタイマーセットしてあって炊きあがってるし。
うん、完璧だ!
きゅうりを切って甘酢に漬け込み、鮭をグリルに放り込んで火を着ける。
鍋にお湯を沸かしてる間にわかめを水で戻して、豆腐をサイの目に切って。
納豆の薬味のネギを切って、納豆と混ぜて生のうずらの卵を添える。
今日も手際良く食事の準備をする事が出来てオレは大満足。
自分の成長っぷりに感動した。
最初の頃は包丁だってまともに扱えなかったし、味噌汁にダシを入れるなんて知らなかった。
ご飯だって水の分量間違えてべちゃべちゃだったけど、何にも文句言わずに食べてくれたんだよなー。

次々と出来ていく料理を食卓に並べていると時刻は7時ちょうど。
そろそろ起こしますか。
ダイニングを出て目的の部屋の扉を開ける。
広い部屋にあるのは大きな机と本棚、そしてベッドだけ。
相変わらず整理整頓されてるし子供らしくない部屋だな〜。
丸く膨らんでるベッドに近付いて枕元に腰掛ける。

「朝ですよー。起きて下さ〜い」

掛け布団にスッポリ埋まってる肩を揺さぶりながら声をかける。
まったく無反応。本当は起きてるくせに。
こういう所は子供っぽいよね。

「もう起きないと遅刻しちゃうよ?ね、起きて」

掛け布団からちょこっとだけ見えてるサラサラの黒髪を梳く。
するとモゾリと顔を出した。

「おはよう、恭君」

「おはよ、綱吉」

恭君はオレの大事な大事な――弟です。
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