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□やきもち
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ギリギリギリギリギリ・・・・


小さく響く歯ぎしり・・・いや、嘴ぎしり。
ヒバードは最高に機嫌が悪かった。
原因は―――綱吉の膝に乗っているオレンジ色。


最初に消えたのは綱吉だった。
ヒバードの主、雲雀の恋人の綱吉がある日忽然と姿を消して。
雲雀や草壁と一緒にヒバードも必死に探したのだ。
綱吉はヒバードの友達でもあったから。
しかし後を追うように雲雀も姿を消して――。
草壁と一緒にただひたすら二人の帰りを待った日々。
無事に帰って来た二人にヒバードは心底喜んだ。
けれど――。


「ガウっ」

綱吉の膝に乗って甘えるように綱吉の手に擦り寄るオレンジ色。
帰って来た二人は見慣れない動物を連れていた。
あのオレンジ色――ナッツは綱吉のアニマル兵器とやらで。
ヒバードと犬猿の仲なのだ。

雲雀のアニマル兵器であるハリネズミのロールは、早々にシメた。
ロールは飼い主に似ず、天然で臆病な性格だったから、ちょっと突きまくったらピーピー泣いて降参したのだ。
そうして雲雀のペットNO.1の座は守ったものの、問題はナッツだ。
ヒバードが綱吉に近付こうとすると威嚇する。
ナッツも臆病なんだけれど、とにかく綱吉への執着が異常に強い。
あの雲雀だって綱吉に触れようとすれば威嚇されてしまう。
大抵雲雀に押さえ付けられて指輪に戻されてしまうのだけど。

とにかくヒバードのお気に入りのあの綱吉のフワフワの髪。
綱吉の頭の上に乗る事ができなくてヒバードは機嫌が悪いのだ。
綱吉に近付けば「ガウッ!」と脅されてしまう。

ヒバードノホウガ サキニ ツナヨシト ナカヨシダッタノニ!

憤慨しながら本棚の上から綱吉とナッツを見ていた。
さっきも試してみたのだけれど、「グルル・・・」と唸られて慌てて本棚の上に避難したのだ。
さすがのヒバードもネコ科の獣には弱かった。
ここは雲雀の部屋。
ヒバードのテリトリーだというのに、綱吉がいるからナッツの態度は横柄で、それが益々面白くない。


不貞腐れて散歩に出かけようとした時。

「ただいま。待たせたね」

風紀の取り締まりで外出していた雲雀が帰って来た。

「おかえりなさい!ヒバリさん」

テレビを観ていた綱吉の顔がパッと綻び、立ち上がった拍子にナッツが膝から転げ落ちる。

フン!イイキミダ!

床にベチャリと落ちて「キャン!」と声を上げたナッツをヒバードは鼻で笑う。
綱吉を取られた事に腹を立てたらしいナッツが、綱吉の後ろから「ヴ〜ッ」と唸るけれど。
尻尾は完全に下がっているし、綱吉の後ろに隠れて威嚇してる時点で完全に負けている。

「君も懲りないね」

呆れたように呟いた雲雀にあっさりと首根っこを掴まれて宙ぶらりん。
「キャイン!」と情けない声を上げて指輪に戻ってしまった。

サスガ ヒバリ! カッコイイ!

やっと綱吉と遊べる、と喜び勇んで綱吉の頭にポスリと乗ったのに。

「君は外で遊んでおいで」

雲雀に無理矢理部屋から追い出されてしまった。

ヒバードモ ツナヨシト アソビタイノニ!

そうは思ってもヒバードも雲雀には逆らえない。
仕方が無いから綱吉と遊ぶのは諦めるけれど。

クッキー ゼンブ タベテヤル!

綱吉が来るからとばあやが焼いていたアーモンドクッキー。
腹いせに全部食べてやれ、と甘い香りの漂う台所に向かうヒバードだった。

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