後輩×先輩1827

□夏の終わり。
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「綱吉先輩。寝るならちゃんとベッドで寝ないと」

コックリコックリと舟を漕いでたオレは、恭弥君に肩を揺すられて目を開けた。
床でうつ伏せ状態で本を読んでいたんだけど、いつの間にか居眠りしてしまっていたようだ。

「んー・・・」

眠くて眠くて再び瞼が落ちそうになる。
恭弥君はタメ息を吐くとヒョイとオレを抱え上げた。
半分眠った頭で力持ちだなとか、カッコイイとか思いながら、空調で冷えた肌に恭弥君の体温が気持ち良くてスリスリと擦り寄る。
すると恭弥君はオレをベッドに下ろさずに、ベッドに腰掛けてオレを膝の上に横抱きにした。
まずおでこに1つキスされて、それから瞼、頬、鼻と次々にキスされていって。
最後に唇にキスされた。
恭弥君の少し冷たい唇が気持ちいい。

夏休みにファーストキス(仕切り直し)をしてからというもの、恭弥君は毎日のようにキスしてくる。
朝起きてすぐ。部屋を出る前。帰宅してすぐ。寝る前におやすみのキス。
それからお風呂を済ませた後、就寝するまでのイチャイチャタイム。
そのイチャイチャタイムを最近読書に使っているものだから、恭弥君は拗ねているのだ。
恭弥君は人間嫌いで群れが大嫌いで、孤独を愛する孤高の人なのに。
以外にもくっつきたがりだし、触りたがりだし、キスしたがりだし。
オレをベタベタに甘やかすんだ。
なんだか気難しい猫に懐かれたみたい。
そんな恭弥君の顔をオレにだけ見せてくれてるんだって思うと、なんだかこそばゆい。

今も小鳥が啄ばむみたいにオレの唇に何度もキスを落として。
恭弥君の唇がオレの唇と同じ温度になっていく。
それに満足したのか、恭弥君がオレの唇をペロリと舐めるから。
オレはおずおずと唇を開く。
すると恭弥君の舌がオレの口内に侵入してきた。

「ん・・・」

唇とは打って変わって火傷しそうなくらい熱い恭弥君の舌。
まだ慣れない大人のキスに、オレはいつだって翻弄されて腰砕けになってしまうんだ。
逃げ腰のオレの舌は、恭弥君の器用な舌にあっさりと捕まって。
好き勝手に吸われて甘噛みされて、本当に頭が蕩けちゃいそう。

「んぅ・・・んっ、ふぁっ・・・・」

眠かったのなんてすっかり忘れて恭弥君に身を任せていたんだけど。
上顎をベロリと舐められた瞬間―――。


「っ・・・・・!!」


下半身に感じた違和感に思わずベリッと恭弥君を引き剥がしてしまった。

「・・・・綱吉先輩?」

不機嫌そうに眉を顰めた恭弥君にジトリと睨まれる。
だけどしょうがない。
オレはジタバタと恭弥君の膝から下りた。

「ごめん・・・!オレ急用を思い出したっ」

それだけ言うと、慌てて部屋の外に出る。
嘘を吐くにももっとまともな嘘が思い付かないんだろうか。オレは。
夜中の12時に急用なんてあるわけない。
それでもなるべく早足でトイレに駆け込むと、個室に閉じ籠もる。
幸いにもオレの他には誰もいない。

そうして恐る恐るパンツの中を覗き込むと――。

「はあぁぁ・・・・」

勃ってしまっている。
何がって、ナニが。

最近オレ変なんだ。恭弥君に触られると気持ち良くてしょうがない。
あんな風に濃厚なキスをされてしまったら腰がジンジン痺れてしまう。
それでこんな状態になってしまうのだ。
恭弥君にバレてないか凄く心配だけど、今の所バレていないようだった。
もしバレたら気持ち悪がられてしまうかもしれない。
だって男のくせに男に触られて欲情するなんて・・・。
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