main@

□ここだけの2人
2ページ/10ページ

「ほら起きて顔洗って。ご飯出来てるよ」

「んー・・・・・」

ギュウッと枕を抱き締めて駄々っ子みたいにイヤイヤと首を振る。

「コラ!起きなさいっ」

ちょっと強めに言うとチラッとこちらを見て。

「今朝は?」

「恭君の好きな焼き鮭ときゅうりの甘酢漬けもあるよ。あと納豆もね」

「納豆にはちゃんとネギ入ってる?」

「もちろん。うずらの卵も付いてるよ」

「じゃあ起きてもいい」

そう言うと恭君はやっと布団から這い出てきてベッドから下りる。

「あれ?恭君また背伸びた?」

「ん?そう言えばそうかな。関節痛いし・・・成長期だからね」

むー、これ以上伸びられると兄としての威厳が・・・。
今だってすでに恭君の方が5cmくらい高いのに。
でも恭君は15歳。まだ成長期の真っ最中だもんなぁ。
なんて思ってると恭君が着替えを始めた。
バサリとパジャマの上を脱ぐ。
着痩せするらしくて細身に見えたけどビックリするくらい筋肉がついてる。
腹筋だってクッキリ割れてるし、成長途中なのに広い肩幅。
思わずポーッと見惚れてしまう。
いいなぁ、オレなんてチビで華奢で肩幅もないし筋肉もつきにくいし・・・
負けてるのは身長だけじゃないらしい。

「綱吉?」

白のカッターシャツを羽織りながら恭君が不思議そうにこちらを見た。

「ああ、ごめん。ご飯よそっておくから早く来てね」

「うん」

オレはダイニングに戻るとお味噌汁とご飯をよそって箸を用意する。
すると制服に着替えた恭君がダイニングにやって来た。

「早く食べて。本当に遅刻しちゃうよ」

「学校まで5分じゃない。大丈夫だよ。さて、いただきます」

恭君はまずお味噌汁に口を付けた。

「うん。今日も美味しいよ」

ニコリと笑って感想を言ってくれるのに、オレはふにゃりと相好を崩す。


優しくて可愛いオレの弟。オレのたった1人の家族。
恭君、フルネームは雲雀恭弥。15歳の中学3年生。
恭君とオレ、沢田綱吉は血の繋がっていない兄弟だ。
オレの母親と恭君の父親が再婚して兄弟になった義兄弟。
お互いの連れ子というわけだ。
オレの実の父はオレが小学校に上がった年に海の事故で亡くなった。
恭君の実の母親は恭君がまだ赤ん坊だった頃に病気で。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ