つなよし日記
□つなよし日記D
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×月★日 くもり
未来の自分に美味しい所を持っていかれてから2週間。
あれからヒバリさんはごくごく普通の様子。
キスとかはしてくれるけれど、あんな雰囲気にはなかなかならない。
もしかして現在のオレじゃあ物足りないなんて思われてるのかもしれない、と不安になるオレだけど・・・。
「んぎゃっ!」
全身に感じる衝撃に、思わず情けない声が出てしまった。
「大丈夫ですか!十代目!」
走り寄って来てくれた獄寺君に支えられて立ち上がる。
「あーあ、泥だらけなのなー」
山本がポンポンと体操着に付いた土埃を叩き落してくれた。
「ごめん・・・・ありがと」
今は体育の授業中。今日は走り高跳びだ。
オレに大した高さが跳べるわけもない、と最初から諦め気味だったんだけど。
まさか助走の段階ですっ転ぶとは思ってもみなかった・・・。
「ああ!十代目、おケガを・・・・!」
獄寺君が青くなってオレの右足を指差す。
つられて見下ろせば右膝が擦りむけていた。
「これぐらい大丈夫だよ」
「ダメです!黴菌が入ったらどうするんですか!早く保健室に・・・」
獄寺君がそう言いかけた時、先生が獄寺君と山本を呼ぶ声が聞こえた。
「ほら、2人共順番回って来たよ。保健室には1人で行けるから」
「でも・・・」
心配そうにオレを見る獄寺君達を説得して、1人で保健室に向かう。
途中の水道で傷口に付いた土を洗い流せばピリリとしみて。
今夜お風呂に入る時も痛いだろうなぁ、なんて考えながら校舎に入った。
授業中でシンとした廊下を歩くのは、なんだか気分がいい。
保健室の前に着いてみれば、案の定『キレイなおねいちゃんとデート中☆』なんてバカみたいな札が掛かっていた。
「まったく、シャマルの奴・・・。とんだ不良教師だよなぁ」
不用心にも鍵のかかっていない引き戸を開ければプンと薬品の匂いがする。
「えーっと、消毒薬は・・・・と」
ガチャガチャと薬棚を漁って消毒薬を探していると、ギシリとベッドが軋む音がした。
そう言えばカーテンが引かれていたし、誰か具合の悪い生徒が寝てたのかも。
起こしてしまったかも、と振り返った時、ちょうどカーテンが開いて。
「ヒバリさん・・・!」
中から出てきたのはヒバリさんだった。
「やあ。もう授業終わったのかい?」
猫のようにしなやかな所作で伸びをしながら欠伸をしてる。
また授業に出ずに昼寝してたんだな。
これで成績は学年トップなんだから凄いよね。
・・・・神様って不公平だ。
「いえ・・・・体育の授業中に転んじゃって」
「ああ、本当だ。膝から血が出てるね」
ヒバリさんはオレの膝をチラリと見ると、薬棚から消毒薬を取り出した。
「ほら、そこに座りなよ」
言われた通り指差された丸椅子に腰かける。
もしかしてヒバリさんが治療してくれるのかな。
ヒバリさん優しい!
「傷口は洗ってあるね。じゃあ消毒するよ」
言うなり消毒薬をたっぷり染み込ませた脱脂綿を傷口にグリグリと押し付けるものだから。
「いったぁ!痛い、痛いです!」
とんでもなくしみる!
「そんなに抉るようにしないで下さいよぉ」
「傷の奥までちゃんと消毒しないとだろう」
泣きを入れても力の加減なんてしてくれなくて。
唇を噛み締めて我慢するしかなかった。
そうしてやっと消毒が終わる頃には涙で視界が霞んでた。
「そんなに痛いのかい?堪え性がないね」
呆れたように呟くと、ヒバリさんはひょいとオレの右足を持ち上げて自分の膝の上に乗せた。
「ヒ、ヒバリさん?」
戸惑うオレをよそに、ヒバリさんは傷口に顔を近付けるとフーフーと息を吹きかけ始めたんだ!
「ちょっ!な、なな何して・・・!」
「こうすると少しはマシにならない?」
まあ、確かに痛みは紛れますけどね。
「っ・・・!」
なんかゾクゾクしてきちゃったんですけど。
ヒバリさんの大きな骨ばった手が宥めるようにふくらはぎを擦って。
至近距離で吹きかけられる息がくすぐったい。
ヒバリさんはそんなつもり無いって分かってる。
でも、中学生男子の身体なんて単純だから簡単に煽られてしまう。
「・・・君のここ、マシュマロみたいだね」
オレが必死に熱くなりかけている身体を鎮めようとしてるのに。
そう言うとヒバリさんはオレの太腿の内側をふにりと押した。
「そんなことないですよ・・・」
突然の刺激にピクリと足が跳ねたけれど誤魔化すように笑う。
「色は真っ白だし、ほら。こんなに柔らかい」
「ゃんっ・・・!」
ふにふにと揉まれて思わず変な声をあげてしまった。
慌てて手で口を塞いで――恐る恐るヒバリさんを見てみれば。
驚いたような顔をしてる。
でも、目が合ったらニヤリと嫌な笑いを浮かべた。
「どうしたの?綱吉」
足を触ってるだけだよ、と言いながら敏感な内股を擦る。
絶対わざとだ!
「く、くすぐったいんです!やめて下さい!」
足を下ろそうとするけれど、ヒバリさんにガッチリ足首を掴まれてどうする事もできない。
それをいい事に、ヒバリさんの手が短パンの中にまで入ってきてお尻を撫でられた。
「ぎゃっ!セクハラですっ!」
「そんな色気のない声じゃなくて、さっきみたいな声出しなよ」
つまらない、とでも言いたげに唇を尖らせたその表情は小さい子供みたいだ。
・・・やってる事はただのセクハラ親父だけどね。
お尻をむにむにと揉まれると腰に電流が走る感じ。
このままじゃ、本当にマズイ!
だってここは真昼間の学校なんだ。
こんな所で前を大きくしてたら大恥かいちゃう!