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□DNA
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「だっ、誰がオンナだ!」

ますます赤くなって枕を投げつけるけれど、ヒョイと軽くかわされてしまう。

「朝から元気だね。ああ、会うのも久し振りだし溜まってるのかい?抜いてあげようか」

「なに言って・・・」

顔に似合わぬ破廉恥な発言をしながらにじり寄ってくるアラウディに恐怖を覚えて。
逃げよう、と背を向けたのが間違いだった。

「うわっ!」

足首を掴まれ、バランスを崩した所で今度は腕を引かれて。
結局ポスンとアラウディの腕の中に収まるハメになってしまった。

「離せ!バカッ」

ジタバタと暴れるジョットだったけれど、細身に見えて実は逞しいアラウディの腕から逃れる事が出来ない。

「ほら、これ」

そんなジョットの鼻先に突き出された綺麗な箱。

「・・・何?」

暴れるのを止めて箱を受け取る。

「君の好きな菓子だよ」

土産だ、とアラウディに言われて。
実は甘い物に目がないジョットは、いそいそとリボンを解き箱を開けた。

「あ、これ確かフランスの・・・」

「マカロンだよ」

友好関係にあるキャッバッローネファミリーのボスから貰って以来、ジョットのお気に入りの菓子だ。

「フランスに行ってたのか」

「ああ」

アラウディがいつもどこで何をしているのか。
それはボスであるジョットですら知らない事。
アラウディのする事に一切干渉しない。
それがアラウディをボンゴレに引き入れた時の条件。
彼が何をしているのか分からないけれど、ボンゴレのピンチの時には必ず駆け付けてくれる。
だからそれでいいとジョットは思っている。

「・・・ありがとう」

「うん」

自分の好物を覚えていてくれた事が、なんだかこそばゆくて。
ボソボソと礼を言えば、首筋に軽いキスが落ちてきた。

(女の扱いに慣れ過ぎだ・・・・って、オレは女じゃないけど!)

マカロンの箱をジッと見つめながら自分にツッコミを入れる。
どうにもこうにもアラウディの前では調子が狂う。

「・・・・煩いのが来たね」

暫くアラウディの腕の中で大人しくしていたのだけれど。
ふいにアラウディがジョットから離れた。

「もう行くのか?」

ベッドから降りて真っ直ぐバルコニーへと向かうアラウディに慌てて問いかける。

「・・・夜にまた来るから」

だから窓の鍵開けておいて、と言うアラウディに。

「誰が開けておくか!」

と憎まれ口を叩いたけれど。
きっと今夜も開けたままにしてしまうのだろうとジョットは思う。

「おい!いい加減に起き・・・・なんだ。もう起きてるのか」

ボンヤリとアラウディが出て行った窓を見ていると、勢いよくドアを開けてGが入ってきた。

「おはよう」

そうか。Gの気配を感じて立ち去ったのか、と苦笑いしながらGを振り返る。

「・・・何笑ってんだ。さっさと顔洗って来い」

Gは怪訝そうな表情を浮かべたけれど、それ以上突っ込まずに部屋を出て行った。
1人になって、Gに言われた通り、身だしなみを整える為バスルームに向かう。
そうして洗面室の大きな金縁の鏡の前に立った時。

「あ!アイツ、こんな所に・・・!」

少し長めの襟足で隠れるか隠れないかの際どい場所。
真っ白な肌にクッキリと浮かんだ紅い痣。

「目立つじゃないか・・・」

ベッドに潜り込んできたアラウディが、恐らく昨夜のうちに付けた所有印。
ゴシゴシと擦ってみるけれど、強く強く付けられたそれが消えるはずもない。

「他にもいっぱいいるくせに・・・・」

鏡に映った自分の顔があまりにも情けない表情をしていて。
バシャバシャと冷たい水で顔を洗った。
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