合作(タッグ)の部屋
□リレー小説
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その日の夜空は満天の星空で溢れていた。
ロケット団の三人はその下で野宿。
草むらの上にコジロウ、ニャース、ムサシと川の字で寝ていた。
「おぉ♪絶景だな♪」
「コジロウ、見とれてないで寝るわよ。
明日、早いんだから!」
「わ、分かってるよ。
(ここに来た時、一番最初に、はしゃいでいたくせに)」
「何か言った!」
「な、何でも」
「おミャーら、うるさいニャ!
眠れないニャ」
『………………す、すみません』
そう言い改めて目をつぶる。
『…………………………………』
『……………………ね、眠れん!!!』
何だかんだと言い全員興奮して眠れなかったのだろう。
しかし貧乏な悪役の明日は早い。
「コジロウ、責任取りなさい!」
「えっ!何で俺が!」
「そうニャ!やれニャ!」
「わ、分かったよ。
……………なら、お話を」
「え〜!」
「子供じゃニャいニャ!」
「まあまあ。俺が子供の頃よく聞かせてくれたんだ。
この夜空の下だから良い話だから♪」
コジロウの無邪気な笑顔にムサシもニャースも黙り話に耳を傾ける。
‘ある所に男の子が居ました。
家から出して貰えずその子はいつも一人ぼっち。
いつも自分の部屋の窓から夜空を見て泣いてました。
しかし彼はある日気づいたのでした。
少し離れた丘に一人が少女が居て、夜空を見ていた事を。
彼と同じ瞳で見ていた。
しかし、少女に見ていた事に気づかれる。
少女は慌てて何処かに行ってしまった。
次の日から少女は現れなかった。
しかし彼は寂しくも泣きもしなかった。
それは彼女と自分が同じ空を見ている様にこの世界は何処かで繋がっているのを気づいたから。
彼はその日、外の世界に飛び出した。
少女を探しに。
そして絆を求めて。
繋がりの旅はこれから始まった。’
「Zzzzzzzz…………」
「あっ、ニャースが寝ちゃった」
「えっ!これから冒険の始まりだったのに!」
「フワ〜………私も眠くなっちゃった」
「ムサシまで………俺、話すのに興奮して眠れそうには………」
「お休み………Zzzzzz」
「早っ!お休み三秒かい!」
しかし起きる雰囲気は無い。
コジロウは黙ってニャースを挟みムサシの寝顔を見る。
「繋がりか…………俺とムサシも絆があるから今も一緒に居る。
でも繋がりは永遠なのか?
それとも新たな繋がりかあったらお前はそっちに。
俺もニャースにもそれは言えるけど。
でも今はこれで………」
起こさないようにそーっと彼女の手を自分に重ねる。
繋がってるのを確かめる様に。
しかしこの時、彼は物語の少年の様に知らなかった。
この世界は広く繋がりが思ったよりたくさんある事を。
彼女や自分にたくさんの繋がりの糸が絡む事を。