隣の席の佐久間くん
□隣の席の佐久間くん
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梓は教室に戻る途中、佐久間を見つけた。
『佐久、』
声を掛けかけたがやめた。
佐久間は女の子達に囲まれていた。
私があげる必要ないじゃないか。
佐久間君カッコイイもん。
しょうがない。
...しょうがない?
なんとか渡してみようとか思わないの?
渡したいけど、受け取ってくれる確証がどこにあるの?
何を知ってそう思えるの?
そんなの自惚れじゃないか。
梓は少し遠回りをして早歩きで教室に向かった。
梓は階段を駆け上がる。
「紫苑!」
後ろから名前を呼ばれる。
梓は立ち止まり、後ろを振り返った。
そこにいたのは佐久間ではなく源田だった。
梓の夢に見たような展開は打ち砕かれた。
『えっと...源田君?』
源田は大量のクッキーを両腕に抱えていた。
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