隣の席の佐久間くん
□隣の席の佐久間くん
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『佐久間君おはよう。』
「はよ。」
挨拶をすれば短く返される。
今日も変わらない関係。
梓の隣の席に佐久間は座った。
「なぁ、紫苑ってさ、いつから髪伸ばしてるんだ?」
唐突な質問だった。
何故そんな質問をしてきたのか分からなかったが、せっかく佐久間君が話かけてくれてるんだからちゃんと答えたかった。
それに少しでも自分を知って貰えると思うと嬉しい。
『えっと、小5くらいからかな?あ、でも毛先が傷んだりするからそこだけ時々切るよ。』
「ふーん。」
佐久間はそう言って梓の桃色の緩いウェーブのかかった髪に指を絡めた。
梓はその仕草が何だかくすぐったくて、恥ずかしがった。
好きな人と話しているだけでも凄く緊張するのに、触れられているとなると...。
『佐、久間君の髪...綺麗だよね。キューティクルだし。』
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