隣の席の佐久間くん

□隣の席の佐久間くん
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「紫苑!」



名前を呼んだのは片思い中の佐久間で。



『えっと、どうしたの佐久間君?』



佐久間は視線を泳がせ、口をパクパクとさせていた。



泳ぐ視線、口をパクパク...、



『分かった!鯉だね!!』



"こい"と聞いて佐久間はドキリとした。



なんで恋してると分かったんだと思ったが、誰にか分かってない分まだ恥ずかしさはマシだ。



こういうのはバレるんじゃなく、自分から言う方がいい。



佐久間は梓の言う"鯉"と自分の思っている"恋"と間違えている。



『佐久間君鯉のモノマネ上手だね。』



この梓の言葉で梓の言う"こい"の意味が分かり、恥ずかしくなった。



しかしそれもまだ墓穴を掘る前だからよかった。



「あの、な...紫苑...、昨日、」



鬼道と屋上で何してた?



その一言がなかなか言えない。



もし、紫苑の口から告白だとか色恋に関係ある言葉が出て来たら立ち直れそうにない。



キスしてたなんてもっての他。



でも会話は聞こえなかったし、キスしてたように見えただけかもしれない。



ただの勘違いであってほしい。



俺の思い込みだって。











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