隣の席の佐久間くん
□隣の席の佐久間くん
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名前を呼ばれて振り返ればこちらに飛んでくる桃色の物体。
梓は慌ててそれを両手でキャッチした。
両手に収まる見慣れた桃色の物体を見れば自分の携帯だった。
『なんで佐久間君が私の携帯を..?』
それ以前に携帯投げないでほしい。
携帯落として壊れたらどうするつもりだったんだ。
「前の時間移動教室だったろ?机の所にあった。」
『よく私のだって分かったね。』
そりゃあ好きな奴の席や携帯はちゃんと把握してる。
そんなストーカーじみた事を口から出せるワケもなく。
「まぁな。」
そう言って誤魔化した。
「それより電話帳見てみろよ。」
少し命令口調になってしまったが、緊張してるからと勝手に理由付けておく。
実はこれ余計な詮索をさせない為の言葉でもあったりする。
梓は思った通り、携帯を開いた。
きっと電話帳を一人ずつ見てるに違いない。
暫くすると梓の手が止まった。
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