隣の席の佐久間くん

□隣の席の佐久間くん
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雨が上がり、梓は佐久間の一歩後ろ隣を歩く。



家に向かう間にはこれと言った話などなく、多くが沈黙だった。



歩調は梓に合わせてゆっくりとしている。



そういう何気ない優しさに惹かれる。



佐久間は一戸建ての家の前で足を止めた。



「ここが俺の家だから。」



佐久間はポケットから鍵を取り出し、差し込んだ。



鍵が開くとドアを引き、梓を招き入れる。



『お邪魔します。』



佐久間は真っ先に脱衣場まで梓を連れると言った。



「先、風呂入れよ。服は俺の貸してやるし、下着は洗濯して乾燥機入れればすぐ乾くだろうから。」



恥ずかしそうに視線を梓から逸らしながら佐久間は言った。



『うん、迷惑掛けてごめん。』



梓は俯きながら謝った。



佐久間は浴室に行き、シャワーで一通り洗い流す。



「迷惑じゃねぇよ。」



浴室なので妙に佐久間の声が響いた。









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