薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
1ページ/2ページ
「最近部活に来られませんね。」
藤崎楓は葵を横目に言った。
部活と言っても楓と二人でやるこれは自主練であって、週に1度ある茶道部の方はちゃんと行っているのでサボりではない。
『そうね。』
葵は茶筅通しをしながら短く言葉を返した。
楓は葵の右側に移動した。
「サッカーは、楽しいですか?」
茶碗を両手で持ち、中の湯を2周傾け、湯を左手で建水に流した。
茶碗から滴る雫の音が心を落ち着かせる。
葵の優雅な振る舞いはつい見とれてしまうくらい美しい。
『楽しいわ。見てるとやりたくなる。』
楓はそれを聞いて沈黙した。
「....。」
その表情は読めないが、あまりよくないのは雰囲気でなんとなくわかった。
『楓はサッカー嫌い?』
茶巾で茶碗を拭いて、棗を左手に取り、お茶をはく。
.